更新日: 2024.01.19 子育て
子どもの出産にかかる費用のうち、自己負担費用はどのくらい?
執筆者:酒井 乙(さかい きのと)
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
長期に渡り離婚問題に苦しんだ経験から、財産に関する問題は、感情に惑わされず冷静な判断が必要なことを実感。
人生の転機にある方へのサービス開発、提供を行うため、Z FinancialandAssociatesを設立。
目次
妊娠から出産前後にかかる費用は大きく分けて3つ
妊娠から出産前後にかかる費用は、大きく分けて次の3つがあります。
1. 妊娠中にかかる費用
2. 出産にかかる費用
3. 赤ちゃんにかかる費用
このうち、本記事では1と2についてご紹介します。
(文中の●は出費に関するもの、☆は補助金など収入に関するものです)
妊娠中にかかる費用とは?
いざ妊娠となると、親の普段の生活は一変します。そのためにも、いろいろなものを用意しなければなりません。例えば、主なものとしては以下をそろえる必要があります。
●妊娠検査薬・キットの購入費 500~1000円/回程度
● マタニティードレス 2000~1万数千円/1着までさまざま
● 安定感のある靴 2000~5000円/1足程度
● マタニティーガードル 1500~1万円超/1着までさまざま
特に衣料系のものは、費用を抑えるために誰かのお下がりはないかな、と考えたくなるかもしれませんが、サイズはお母さんのもともとの体形やおなかの赤ちゃんによってもさまざま。新たな購入がどうしても必要です。
また、神社で安産祈願を行う際には、初穂料を納めるのが普通です。神社によってまちまちなので、あらかじめ神社へ問い合わせておきましょう。
● 安産祈願の初穂料 相場として5000~1万円程度
そして医療費です。正常な妊娠であれば通常健康保険は適用されないのですべて自己負担ですが、何らかの病気等が判明したなどの場合は治療が健康保険適用になりますので、その分の負担は軽減されます。いずれにしても、健康保険証は必ず持参しましょう。
● 産婦人科の初診 検査内容によってさまざま。1~2万円ほど準備しておくとよい
さらに、医師や助産師から妊娠と診断されれば、定期的に妊婦検診を受けます。この費用も通常は健康保険適用外のため自己負担ですが、ほとんどの自治体では公費による補助(補助券を配布)があります。
● 妊婦検診費用 公費負担額(※)を超える金額のみ自己負担
(※)令和4年の妊婦1人当たり全国平均は10万7792円(※1)
補助券については、次の項で具体的に説明します。
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妊娠中にかかる費用への給付や補助はどんなものがあるの?
ここまで、どんな費用がかかるのかについて見てみました。次にどんな補助が受けられるのかを見ていきますが、その前に大事なことがあります。
妊娠、と思ったら必ず医療機関へ行き診察を受けてください。その際、医師や助産師から妊娠を告げられたら市区町村へ妊娠届を提出しましょう。妊娠届を提出すると、母子健康手帳が交付されます。その際に、通常、妊婦検診に使える補助券が配布されます。
☆ 妊婦検診の補助券 自治体によって違うが、11~14枚程度(※2)
ただし、高額な医療機関を選んだり、途中で病気がみつかったり、あるいは出産予定日を超えたりした場合は、補助券を使い切ってしまい、補助券だけでは足りない場合があります。その場合は自己負担となりますが、必ず医療費の領収書はとっておきましょう。出産に伴う一般的な費用(電車、バス、タクシーなどの交通費を含む)で条件を満たすものであれば医療費控除の対象になるため、確定申告すれば税金の一部が戻ってくるからです(※3)。
☆ 妊婦検診の自己負担分を確定申告すれば税金の還付が受けられる
国による支援もあります。2023年から始まった、「出産・子育て応援交付金」です。
妊娠届や出生届を提出することで、「出産応援ギフト」として妊婦1人当たり5万円、「子育て応援ギフト」として出生児1人当たり5万円相当分のクーポンやサービス利用券、ベビー用品購入助成や現金などが支給されます。さらに、自治体によっては独自の上乗せを行っているところもあります。
☆ 出産応援・子育て応援ギフト(各5万円)の支給例:
東京都:(※4)
妊娠時は国の「出産応援ギフト」5万円分、出産後は国の「子育て応援ギフト」5万円分に東京都独自で5万円を上乗せして10万円分の経済的支援を実施。ギフトは付与ポイントから家事育児サービスやマタニティー、ベビー用品などを選択する。
川崎市:(※5)
・「出産応援ギフト」として妊娠届出後に妊婦1人当たり5万円を給付
・「子育て応援ギフト」として乳児家庭全戸訪問後に新生児1人当たり5万円を給付
なお、もし妊娠届を提出した後に流産や死産となってしまった場合や、出生直後にお子さまが亡くなった場合はどうなるのでしょうか。その場合でも、前者の場合は「出産応援ギフト」が、後者の場合は「子育て応援ギフト」が支給されます(※6)。
出産にかかる費用とは?
次に、出産にかかる費用を見てみましょう。
厚生労働省の調査によると、令和4年度の全国出産費用の平均額は約48.2万円です。
● 全国出産費用の平均:約48万2000円(令和4年度)(※7)
ただし、その費用はどこで産むかによって大きく変わってきます。
図表1は都道府県別で見た出産費用の平均ですが、最低が熊本県の約36万1000円、最高は東京都の約60万5000円と大きくバラつきがあります。
図表1
(出典:厚生労働書 「出産費用の見える化等について」都道府県別の出産費用の状況 全施設・正常分娩の場合 P27より抜粋)(※7)
さらに出産費用は、例えば次のような条件にも左右されます。
● どこの医療機関を選ぶか
● 医療を受けるタイミングはいつか(休日の分娩が割り増しとなる、など)
● どのような分娩方法を選ぶか(無痛分娩、計画分娩、など)
● どのようなサービスを受けるか(入院有料個室やお祝いの食事をつける、など)
出産で受け取れる一時金や給付金はどんなものがあるの?
出産費用には多額の費用がかかりますが、通常、出産費用を全額自己負担することはありません。健康保険から出産費用への補てんとして出産育児一時金が支給されるからです。
☆ 健康保険の出産育児一時金:最高50万円(※8)
なお、この出産育児一時金は、やむを得ず国民健康保険料を滞納してしまっている方にも支給されます(※9)。
また、お勤めの方であれば、同じく健康保険から産前産後休暇の給与の穴埋めとして出産手当金が支給されます。
☆ 健康保険の出産手当金:通常出産日以前42日から出産日翌日以降の56日までの範囲で、おおよそ給与の3分の2を支給
さらに前述の国による「子育て応援ギフト」に加えて、市区町村が独自に出産祝い金を給付する例もあります。
☆(例)岐阜県の出産祝い金:
岐阜県独自の事業として、第2子以降の子が生まれた世帯に対して、出生児1人当たり10万円を支給(※10)
まとめますと、ご自身で負担する出産費用とは、かかった出産費用からこれらの給付等を差し引いた額になるのです。
母子のことを優先したうえで、給付と費用を配偶者と話し合ってみては?
ここまで見てきたように、出産にまつわる出費や給付金、補助金などの収入はさまざまです。
妊娠や出産は自分だけではどうにもならないものも多く、母子のことを考えると選択の余地は少ないかもしれません。しかし、もし選択の余裕があるのであれば、費用と収入を見比べ、配偶者の気持ちや体調などに十分気をつけたうえで、最適な出産方法を話し合ってみてはいかがでしょうか。
出典
(※1)厚生労働省 妊婦健康診査の公費負担の状況について(令和4年4月1日現在)
(※2)公益社団法人 日本産科婦人科学会 令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 「妊婦健康診査に係る費用負担等の実態に関する調査研究」 医療機関アンケート調査結果概要
(※3)国税庁 No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例
(※4)東京都福祉局 東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファーストを継続します~
(※5)川崎市 出産・子育て応援事業(国の出産・子育て応援給付金)
(※6)川崎市 出産・子育て応援事業(国の出産・子育て応援交付金)Q&A
(※7)厚生労働省 出産費用の見える化等について
(※8)厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払方法について
(※9)厚生労働省 出産育児一時金制度の見直しに関するQ&A(受取代理制度について)
(※10)岐阜県 令和5年度 第2子以降出産祝金・高等学校就学準備等支援金 岐阜県第二子以降出産祝金支給事業
執筆者:酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。