更新日: 2024.04.23 その他暮らし
年間「5000円」の町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われました。正直払いたくないのですが、法的な拘束力はあるのでしょうか?
本記事では、自治会や町内会の活動内容や、町内会費を支払わないことを理由とするゴミ捨て場の利用禁止は法的に有効かどうかについて解説します。
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執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
自治会・町内会とは?
町内会とは、町などの一定の区域の住人で形成された団体のことで、自治会などとも呼ばれます。住みやすい地域づくりのために、区域の住民相互の連絡や環境の整備、集会施設の維持管理、良好な地域社会の維持や形成に関する共同活動を行っています。
町内会の具体的な活動内容は地域によって異なりますが、例として次のようなものが挙げられます。
●防災(災害に備えた防災訓練や備蓄の確保)
●防犯(夜間パトロールの実施や防犯講習会の開催等)
●見守り活動(単身高齢者の見守り訪問や子ども食堂)
●多文化共生社会づくり(在住外国人が住みやすい地域づくり)
●地域交流(お祭りやレクリエーションの企画・開催・参加)
町内会に加入することで、これらの活動のメリットを享受できます。
町内会費の相場は年間数千円
町内会の活動を維持するために必要な費用として、住人から町内会費が徴収されます。ママ向け情報サイト「ママスタ」を運営する株式会社インタースペースが行った調査によると、年間に支払う町内会費は「1001円~1万円」が最も多く、次いで「0~1000円」となっています。町内会費は年間数千円程度が相場と言えるでしょう。
年間数千円とは言え、物価が上昇して生活が苦しいと感じている人にとっては負担に感じるかもしれません。町内会への加入や会費の支払いは法律上の義務はないため、町内会費を支払わないという選択も可能です。
町内会費を支払わないとゴミを捨ててはいけない?
多くの町内会ではゴミ捨て場の清掃や管理を行っています。そのため町内会に加入せず会費を支払わないことを理由に、地域のゴミ捨て場の利用を断られるケースも少なくないようです。
過去には「自治会に入らないことを理由にゴミ捨て場の利用を禁止するのは違法だ」として、裁判になった事例もあります。
この事例の場合、地方裁判所は「一部の住民を排除するのは相当ではない」、高等裁判所は「ゴミ捨て場の利用禁止は自治会への入会強制に等しい」として、自治会の対応は「違法」であるという判決を下しています。なお、この判決は上告され、最高裁で継続中です。
まとめ
過去の事例を参考にすると、「町内会費を払わないならゴミ捨ては禁止」というルールは違法とみなされます。町内会費の支払いの有無によるゴミ捨ての可否に、法的な拘束力はないと言えるでしょう。
ただし法的な拘束力はありませんが、町内会費の支払いを拒否することで自治会や地域住民との関係性が悪化するといったリスクは高まります。まずは自分の住む自治体の町内会費がどんな活動にいくら使われているのかをしっかり把握したうえで、町内会費を支払うかどうかを慎重に判断しましょう。
どうしても町内会費を支払わずにゴミを捨てたい場合、町内会側と話し合う必要があります。「会費は支払わないがゴミ捨て場の掃除はする」というような提案をするのも1つの方法になるでしょう。
出典
総務省 自治会・町内会等とは
株式会社インタースペース ママスタセレクト 「町内会費」にいくら払っていますか? 負担金ゼロの人から2万円超の人まで!<ママのリアル調査>
執筆者:山田麻耶
FP2級