子どもの頃に「お年玉」を預けていた通帳を30年ぶりに発見しました。「30万円」入っているのですが、まだ引き出せるでしょうか? 10年以上使っていないとダメと聞いたことがあります…

配信日: 2024.01.25

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子どもの頃に「お年玉」を預けていた通帳を30年ぶりに発見しました。「30万円」入っているのですが、まだ引き出せるでしょうか? 10年以上使っていないとダメと聞いたことがあります…
子どもの頃、お年玉をもらうと「無駄遣いしないように」と親に銀行に預けさせられていたという人はいませんか? 親が自分名義の新しい銀行口座と通帳を作ってくれ、「大人になったら渡すから」と毎年そこに預け入れていたというようなケースもあるでしょう。
 
ただ、その通帳はタンスの引き出しにしまわれて、いつのまにか親も自分も忘れてしまい、30年後の正月に実家に帰ったときに、親から申し訳なさそうに「引き出しの奥にあった」と通帳を返されたというような場合、どのような対応ができるのでしょうか。
 
届け出の印鑑は見つかっても、通帳に記された銀行が統廃合によりもう存在しないということもあるでしょう。長期間全く使っていない銀行口座に預けたお金は引き出せるのか、引き出すためにはどのような手続きが必要なのかについて解説します。
根本由佳

執筆者:根本由佳(ねもと ゆか)

FP2級、中小企業診断士

取引も連絡もしていない口座は「休眠口座」になる

10年以上出入金などの取引がなく、銀行などの金融機関からの連絡にも応じていない場合、その口座は「休眠口座」となります。
 
休眠口座とは、2018年1月に施行された「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」、いわゆる「休眠預金等活用法」の第2条第6項に「預金等であって、当該預金等に係る最終異動日等から十年を経過したもの」と定義されています。
 
「預金等」とは、銀行や信用金庫、各業種協同組合などの金融機関に預けられた普通預金や定期預金などのことで、対象となる範囲は幅広く設定されています。また「最終異動日」とは、出入金などの取引が最後にあった日のことです。
 
なお、異動の定義は金融機関によって異なります。出入金は共通で異動と認められますが、記帳は異動と認められる場合とそうでない場合があります。金融機関のウェブサイトなどであらかじめ確認しておくことをおすすめします。
 
休眠預金等活用法は、休眠している金融資産を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的としています。
 
令和4年の政府広報の情報によると、日本では10年間取引のない預金が毎年1200億円も発生しているということです。これを民間の公益活動団体に活動資金として交付して、有効活用しようというものです。
 

休眠口座の確認と再開方法

休眠預金等活用法第1条では「休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ」と規定しており、休眠口座となった後でも、預金者がお金を引き出すことは期限の定めなくいつでも可能です。休眠口座になっている可能性のある口座を見つけた時は、以下の手順で手続きをしましょう。

1. 通帳、キャッシュカード、身分証明書(運転免許証等)、届出印を用意する
2. 銀行の最寄りの支店窓口へ行き、長い間使用していない口座を使えるようにしたい旨を伝える
3. 届出印や身分証明書の提示、必要書類への記載などを行う

なお、銀行統廃合などでなくなってしまった銀行の口座についても、基本的には引き継がれた銀行(統合先の銀行)で手続きが可能です。通帳やキャッシュカードをなくしてしまった場合でも、身分証明書があれば手続きが可能です。具体的な手続きの仕方は、金融機関へ問い合わせてください。
 

休眠口座には事前通知がある

将来的に休眠口座になりそうな口座がある場合、金融機関は公告や預金者への通知を行います。
 
最終異動日から9年が経過した時点で、金融機関はウェブサイトで公告をします。また預金額が1万円以上の場合は、登録されている預金者の住所や電子メール宛てに通知を送付します。郵送でも電子メールでも、宛先不明とならずに通知が預金者に届けば休眠口座にされることはありません。
 
しかし、転居などにより住所が変わっていたり、メールアドレスが無効になっていたりして通知が預金者に届かず、預金者側でも何らかの措置をしない場合は、休眠口座に移管されます。
 
最終異動日から住所やメールアドレスが変わっている人は、金融機関からの事前通知が届かず、知らない間に休眠口座に移管されている場合があるので、注意が必要です。また預金額が1万円未満の場合、通知は送付されません。
 
今回は預金が30万円なので、実家が転居などしていなければ金融機関からの通知が事前に届いていたはずですが、子どもの銀行口座を開設したこと自体を親が忘れてしまっている場合は、通知を見逃したり放置してしまったりした可能性があります。
 
まずは、30年ぶりに見つかった通帳とその他必要なものを持って該当の金融機関に出向き、引き出す対応を進めましょう。
 

まとめ

休眠口座に移管された後でもお金を引き出すことは可能です。しかしそのための手続きは面倒なものです。自分が把握している以外に自分名義の口座がないかを確認しておくことや、出入金などの取引による異動を定期的に行うなど口座をきちんと管理して、休眠状態を作らないことが大切です。
 

出典

預金保険機構 休眠預金等活用法の概要
e-Gov法令検索 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
 
執筆者:根本由佳
FP2級、中小企業診断士

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