更新日: 2024.01.28 その他暮らし
年金5万円では暮らせそうにありません。生活保護に頼るとしたら受給条件はどんな内容なのでしょうか?
生活保護は万が一の際に生活をつなぐための大切な制度です。収入が少ない、働きたいけど働けないといった場合に生活保護を利用できるよう受給条件などについてしっかりと把握しておきましょう。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
生活保護の概要
生活保護は、年金や給与などの収入が国の定める基準額を下回る場合、その不足額を補う形で支給されます。
保護の種類は必要な保護の内容により分けられており、生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助といった8種類の扶助を受けることができます。
食費や光熱費・服飾費などが対象となる生活扶助を例にとり、生活保護の支給額がどれくらいかを見ていきましょう。
・68歳単身世帯:月額7万7980円(東京都区部等)、6万8450円(地方郡部等)
・68歳と65歳の高齢夫婦世帯:12万2460円(東京都区部等)、10万8720円(地方郡部等)
この収入を下回れば生活保護を受けられる可能性がありますが、実際の基準額はお住まいの場所によって異なります。
生活保護を受けられる可能性がある場合は、まず管轄する福祉事務所や町村役場の生活保護担当者へ相談するようにしましょう。
生活保護の収入以外の受給条件は?
収入が基準額を下回るだけでは生活保護を受けることができません。収入以外の受給要件についても確認しておきましょう。
生活保護を受ける前に、働くことが可能であれば就労が勧められ、マイホームや自動車などの売却可能な資産があればこれを売却して生活費に充てるように求められます。
一方で、別居親族などへの援助の要請については、親族に窮状を知られたくないなどの理由で難しいこともあるため、必須とはなっていません。また、居住しているマイホームや通勤・求職などで自動車が必要な場合は、引き続き居住・所有しながら生活保護を受けることができる場合があります。
生活保護の申請や手続きは?
生活保護の申請は、お住まいの地域の福祉事務所(設置がない場合は町村役場)の生活保護担当が窓口になります。
申請書には、氏名・住所・資産状況・生活保護を受ける理由・必要な保護の種類などを記入する必要がありますが、申請書が全て揃っていない場合や住所がない場合でも申請することは可能です。
生活保護の申請後、生活状況や資産状況、就労の可否などを調査するため、家庭訪問などが行われます。審査結果は原則として申請日から14日以内に結果が通知されます。
生活保護開始となった場合は、毎月収入状況を報告し、世帯の状況によってはケースワーカーの訪問調査が継続的に行われるほか、就労可能性のある方は就労に向けた助言や指導も行われるなど生活保護開始後もさまざまな手続が必要となっています。
生活が苦しい場合は生活保護の利用を
生活保護は年金などの収入が国の定める基準額を下回る場合、その差額を受け取ることができます。
生活保護はネガティブなイメージもありますが、誤った受給条件を信じて利用をためらってしまうこともあります。よくある受給条件の誤解としては、別居親族に援助の要請をしないと申請できないので別居親族に窮状を知られてしまう住所がない場合は申請できない、マイホームや自動車は必ず売却しなければならないといったものです。
実際には、別居親族への援助の要請や住所は必須ではありませんしマイホームや自動車も条件によっては居住・所有を認められる場合もあります。生活保護は条件を満たす方であれば誰でも利用できる社会のセーフティーネットです。
収入が少なく生活が苦しい場合、そのままにしてしまうとますます状況が悪化していってしまうのでためらうことなく利用するようにしましょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表