更新日: 2024.01.27 その他暮らし
雪国に行ったら「燃料」が凍結してトラブルに!? 事前に確認すべきポイントを理由とあわせて解説
本記事では、知っておきたい燃料の凍結について、対策も含めて解説します。
執筆者:宇野源一(うの げんいち)
AFP
ディーゼル車に乗っている人は「燃料の凍結」に注意
冒頭で燃料の凍結について触れましたが、日本国内においては一般的なガソリンであれば凍結の危険性はほぼゼロと思って問題ありません。
一方で、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを搭載した車の場合、比較的暖かい地域から東北地方など寒冷地へとドライブに行くなどした際、給油していた軽油が凍ってしまってトラブルが発生するということがあり得ます。
ディーゼルエンジンや軽油と聞くと、トラックなど商用車にしか使わないというイメージが強いかもしれません。ですが、欧州車を中心に、クリーンディーゼルエンジンを搭載し、それを動かすために軽油を燃料とする車も多くあるので注意が必要です。
軽油は寒い場所で固まりやすいという性質がある
軽油には、低温で凍りやすいという性質があります。これは、軽油に含まれるパラフィンという成分が結晶化し分離するためです。氷点下の場所では軽油の粘度が増し、徐々に固まっていきます。
石油元売り大手のENEOSによると、軽油は流動点(固まる温度)の違いによって「特1号」「1号」「2号」「3号」「特3号」の5分類に分けられ、数字が大きくなるにつれて寒い場所でも固まりにくくなります。
特1号は「プラス5℃以下」で固まり始め、1号は「マイナス2.5℃以下」、2号は「マイナス7.5℃以下」、3号は「マイナス20℃以下」、特3号は「マイナス30℃以下」で固まり始めるとされています。
そのため、暑い夏場は特1号もしくは1号を使う、寒い冬場は2号を、寒冷地では3号もしくは特3号を使う、などというように季節や地域を考慮して使い分けられています。
ディーゼル車で寒冷地に行く場合の注意点と対策方法
冬場は、地域によって凍りにくい種類の軽油が使われているということを説明してきました。それではディーゼルエンジンを搭載した車で、スキーなどウインターレジャーをするために寒い地域に行く場合の注意点を解説します。
結論からいうと、目的地で取り扱っている軽油とお住まいの地域の軽油の分類を確認しておくことでトラブルを未然に防げます。石油連盟では「軽油使用ガイドライン」を定めており、使用する時期と地域ごとに取り扱う軽油の種類を定めています。
それによると、例えば2月のガイドラインは以下の通りとなります。
特3号:北海道(道南を除く)
3号:道南、中部山岳、東北
2号:関東、北陸、山陰、東海、近畿、山陽、四国、九州
特1号:沖縄
つまり、例えば関東(ガイドラインでは2号)から東北(同3号)へ行く場合、軽油の種類が違うことになりますから、軽油が凍るリスクがあると言えます。
その際の対策方法としては、現地に到着してすぐに現地仕様の燃料(3号)を調達することです。旅行などで寒冷地に行く際は現地に行くまでの燃料を入れた状態で出発し、現地で給油するという流れを踏めば安心でしょう。
ガソリンは凍らないの?
ここまで説明した通り、軽油は凍る危険性がありますが、ガソリンは本当に大丈夫なのか不安に思う人もいるでしょう。ガソリンは凍る温度がマイナス100℃とも言われていますから、日本で最も寒いと言われている北海道旭川市(最低気温マイナス41℃を記録)であっても凍ってしまう恐れはまずないと言えるでしょう。
まとめ
今年は暖冬とも言われ、比較的暖かい日が多いですが、ディーゼル車に乗っている人で、特に寒冷地へ車でレジャーに行く際には、燃料が凍ってトラブルに巻き込まれることのないよう気をつけましょう。
出典
ENEOS株式会社 石油便覧 第2編 第2章 第5節 軽油
石油連盟 情報ライブラリー 軽油の品質
執筆者:宇野 源一
AFP