生活保護費に「子育て費用」は含まれますか? 東京での子育ては出費が多く、生活保護を検討しています……
配信日: 2024.01.29
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
生活保護には「教育扶助」がある
生活保護は8つの項目から成り立っており、それらが合わさっていわゆる「生活保護費」となります。そのうち、子育て費用に該当するものに「教育扶助」があります。こちらは、子どもが義務教育を受けるのに必要な費用が支給されるものです。
具体的には、小学生は基準額が2600円、中学生がいる場合には5100円が支払われます。また、教材代や学校給食費、交通費などは実費で支払われます。さらには学習支援費(クラブ活動費)が、小学校で1万6000円以内、中学校では5万9800円以内で実費支給されます。
また高校生の子どもへは「生業扶助」として高等学校等就学費(基本額5300円に教材代と交通費)が実費で支給されます。さらに、この費目については学習支援費(クラブ活動費)も8万4600円以内で実費支給されます。
※出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」
このように、生活保護費は子育て費用も含んだ上で支給される、と考えていいでしょう。
意外と生活保護での生活は楽ではない
生活保護を受けながら生活することを、楽そうに感じる方は、一定数いることでしょう。しかし、東京都内で子育てしながら生活保護で生活するのも、そう簡単ではありません。
東京都品川区を例にすると、30代夫婦に3歳から5歳の子1人という世帯の場合、生活扶助基準額は15万2900円です(令和5年10月1日~令和7年3月31日)。
家賃分は別途住宅扶助が支給され、医療費は別途医療扶助が受けられるとはいえ、子育てをしながら夫婦で生活するには決して楽な金額ではありません。
なお、参考までに、30代の母親と小学生の子という世帯であっても、生活扶助の基準額は12万2200円です。夫婦にしても母子世帯にしても、生活保護を受ければ生活が楽になるとは限らないようです。
生活保護は簡単に受給できるとは限らない
生活保護は基本的に、働きたくても働けない方や、働いても最低限度の生活が送れないといった方を支援するための制度です。そのため、単に「生活が苦しいから」「出費が多いから」といった理由で生活保護を受けることはできません。
そのような理由で生活保護を申請しても、結局は審査によって、生活保護の受給は認められないでしょう。現状働いて生計を維持できているのであれば、働くよう促されることになります。
仮に働けない状態や、働いても生活保護未満の収入しかない状態であるとしても、貯金をはじめとした各種資産をまず処分するように促されます。場合によっては大切な車や宝石など価値のあるものも、手放さなければならないこともあるでしょう。
また、生活保護の受給中には一定の義務が課されます。例えば、支出を節約して生活の維持に勤めたり、年齢や体力に応じて働いたりすることも求められます。
そのため、仮に生活保護を受けられたとしても、想像するような楽な生活とはならない可能性が高いのです。生活を楽にしようと就労や資産の処分などによって収入を得ると、生活保護によって支給される金額もその分減額されます。
少なくとも、本当に生活に困っている場合でない限り、金銭面で今より生活が楽になることは基本的にない、と考えていいでしょう。
まとめ
生活保護の受給中に支給される生活保護費には子育て費用も含まれますが、思うほど悠々自適な生活ができるわけではないようです。
そもそも、生活保護は厳正に審査がされるため、受給自体が容易ではありません。
もし、子育て費用が負担に感じて「生活保護を」と考えているのであれば、よく考え、節約や転職など多方面で解決できるよう探っていくことをおすすめします。
出典
東京都福祉局 生活保護制度とはどのような制度ですか。
厚生労働省 生活保護制度の概要等について
品川区 令和5年10月からの生活保護基準の改定について
執筆者:柘植輝
行政書士