【火災の豆知識】火事で自室が燃えました。火元の部屋の住人に賠償請求すると「それは無理です」と一言。できれば弁償してもらいたのですが……。
配信日: 2024.02.03 更新日: 2024.02.09
今回は、近隣の火事で被害を受けた際の弁償について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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火事で被害を受けたとき出火元の住人に賠償請求はできる?
結論からいえば、出火元の住人に賠償請求することはできません。火事の原因になった家が分かっていて、実際に被害を受けていても請求はできないことになっています。その理由は「失火責任法」という法律があるためです。例え火事を起こしても、故意または重過失でなければ、火元に損害賠償責任は問えません。「失火責任法」は、明治時代に制定された古い法律が元になっています。
明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)で、「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」とされています。
住居が密集した場所や集合住宅の場合、どこか1軒で火事が起こって燃え広がれば、火元となった家は何軒もの損害賠償をしなければなりません。しかし、個人でそれらを賠償するのは難しいですし、酷であるという考えが元になっています。
今回のケースのように、火元となった住人が「賠償は無理」と言っているのは「失火責任法」を知っているからでしょう。知らずに自分の責任能力だけで答えていたとしても、法律上賠償請求することは不可能です。
近隣の火事によって被害を受けたときの対策は?
万が一火事になったときの対策としては「家財保険」や「火災保険」に加入するしかありません。マンションのような集合住宅の場合は、入居時に「家財保険」に加入するのが一般的です。物件の契約更新時にあわせて家財保険も更新するケースが多く、いざというときのために備えておけます。
「家財保険」は、隣室の類焼によって受けた被害を補償してもらえます。実際には保険会社や契約内容によって変わってきますが、消火活動によって家財が水をかぶったときも補償してもらうことが可能です。
賃貸物件でもしも自分が出火元になったときは、家主への補償も念頭に置かなければなりません。「家財保険」の多くは、家主への補償も可能になっています。
また、個別に加入することもできるため、契約時に「家財保険」がない物件に住んでいるときは自分で入っておくと安心できます。自分が出火元になった場合を考えると、被害を受けた部屋をすべて補償するのは難しいものです。いざというときのために保険で備えておきましょう。
集合住宅での火事は「家財保険」で補償される
例え出火元が判明していても、類焼によって受けた損害を相手に賠償請求することはできません。それは「失火責任法」によって守られているためです。ただし、集合住宅でも「家財保険」によって被害を受けた分を補償してもらうことはできます。契約時に加入をすすめられていなくても、個別に加入することは可能です。もしものときに備えておくとよいでしょう。
出典
e-Gov 法令検索 明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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