気に入った中古車を「買う」と伝えたのに、別のお客さんに買われてしまった! これって法的に「問題アリ」? 確実に購入するためにはどうすればいいの?

配信日: 2024.02.07

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気に入った中古車を「買う」と伝えたのに、別のお客さんに買われてしまった! これって法的に「問題アリ」? 確実に購入するためにはどうすればいいの?
以前、SNSで「中古車を見に行って気に入った車があり、口頭で買うと言っていたのに別の人に買われてしまった」という投稿が話題になりました。中古車は新車と違って一点もの、いわば早い者勝ちという性質が非常に強く、良いなと思った車は早く購入しないと無くなってしまいます。SNSを賑わしたこのケースのようにならないようにするためにはどうすれば良いのか、解説します。

車の購入に必要な基本的なフロー

あくまで一般的なケースとなりますが、新車であれ中古車であれ、車を買う際には「契約」手続きが必要になります。その流れは販売店によって若干の変動がありますが、筆者がディーラーに勤務していた際の契約から納車までのフローは以下の通りでした。

商談→契約(書面に捺印)→車両代金の入金→登録→納車

気に入った車があったら店舗スタッフと条件面が折り合うまで話し合い、合意したことを証明するために契約書などに署名捺印をし、費用を支払うことで「自分の車」となります。
 
お金のやり取りについてはディーラーや販売店の社内規定によって契約直後なのか、それとも契約から定められた期日までなのか変わってきますので、購入する店舗スタッフに確認する必要があるでしょう。
 

口頭で「買う」と意思表示したら買ったことになる?

今回のケースのように口頭で購入を意思表示したにもかかわらず、他人に車を買われたケースは法的にどうなるのでしょうか。
 
民法第五百二十二条によると『契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する』とあり、それを捕捉する形で第2項に『契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。』とあります。
 
つまり、物を売買する際には口頭であっても書面であっても、当事者間で合意されていればその形は問われないのです。
 
コンビニエンスストアなどで少額な物を買うことも売買契約の一種ですが、これに書面のやり取りをしていては時間がかかるため、口頭(レジ越し)で契約が成立するということになります。
 
ただ、数十万円~数百万円になる車の契約においては当事者間の合意だけでなく、書面でのやり取りをすることが慣例として存在しています。今回の場合は店舗スタッフと顧客との間でどのような話になっていたか真相が見えてきませんが、販売店側の社内規定に基づいた手続きがなされなかったことによるトラブルであったのではないでしょうか。
 

確実に車を買うために必要な手続きはある?

「言った・言わない」「他人に車を買われてしまった」というようなトラブルに発展しないためにも、具体的な手続きを行う必要があります。今回は車を購入するにあたってどのようなことをすれば良いのか、紹介します。
 

契約書を交わす

最も確実な方法は「この車を購入します」と口頭で言うだけでなく、販売店側と書面で契約を交わすことです。店舗が作成した契約書に店頭で署名と捺印(ない場合はフルネームのサインなど)をすることで、法的な効力を発揮します。
 

意思表示とともに手付金を支払う

中古車の場合、欲しい車が遠方の店舗にあることもあります。その場合は通信販売のような形で車を購入しなければなりません。その際は契約書など店舗のルールに則ることが必要となりますが、まずは購入金額の全部または一部を手付金として販売店に支払うことで「この車を買いたいので、おさえておいてください」という意思表示となります。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
 
執筆者:宇野源一
AFP

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