更新日: 2024.02.07 その他暮らし
工賃をケチって自分で車の「インチアップ」をしたら不正改造に!? 自己カスタムはかえって「コスパ悪い」って本当? 注意点を解説
ただ、タイヤ交換などをお店に頼むと工賃がかかりますし、ネットで購入した方が安価でカスタムできるケースもあります。しかし、正しい知識がないままカスタムをすると、違反行為になる可能性があるので要注意です。本記事では、タイヤの自己カスタムに関する注意点を解説します。
執筆者:宇野源一(うの げんいち)
AFP
タイヤに関する保安基準
日本では定期的に車検があり、乗用車の場合は新車登録から3年で初回の車検、以降は2年ごとに車検を受ける義務があります。車検の検査基準を保安基準と呼びますが、その内容について、ここではタイヤに関して気をつけたい規定を3つ紹介します。
タイヤやホイールのはみ出しに関する規定
タイヤをインチアップするとホイールとタイヤのサイズが大きくなり、タイヤの幅も広くなる傾向にあります。
その際、ホイールがボディから規定値以上はみ出してしまうと車検に通りません。タイヤ部分のみのはみ出しが10ミリメートル未満であれば保安基準内に収まりますが、「原則的にタイヤははみ出してはいけない」と覚えておくと良いでしょう。
タイヤの外径に関する規定
インチアップをすることでホイールの直径が大きくなります。装着するタイヤのサイズによっては、純正装着のタイヤと比べて外径(タイヤの直径)が変わってしまうことも起こり得るため注意が必要です。
タイヤの外径が純正状態より大きくなっても小さくなっても、スピードメーターに表示される速度と実際に出ている速度に誤差が生じてしまいます。外径が大きくなると実際よりもメーター表示が遅く、逆に小さくなるとメーター表示の方が実際の速度よりも早くなってしまうのです。
一般的にインチアップをした場合、外径誤差の許容範囲はマイナス3%、プラス2%と言われているため、その範囲で収まるようにタイヤサイズを検討する必要があります。
タイヤの耐荷重に関する規定
タイヤには耐荷重があり、負荷指数を表すロードインデックス(LI)がタイヤに表記されています。インチアップをすることでLI指数が下がり、車の重量を支えられなくなると車検に合格しないだけでなく、走行中にタイヤが破裂してしまうなどの危険性が高まります。必ず純正装着タイヤと同等か、それ以上のLIのタイヤを選ぶようにしましょう。
ネット通販でホイール付きタイヤを買う際の注意点
タイヤとホイールの購入費用を抑えられるといった理由で、ネットショッピングでドレスアップ用のホイールを購入する際には注意が必要です。知識のないまま購入すると、車検に通らないなどのトラブルになる可能性があり、結局、思わぬ出費をしてしまうこともあり得ます。自分でタイヤを買う際の注意点は主に以下の2点です。
タイヤの外径が純正に近いか確認する
前段で紹介したとおり、適切な外径のタイヤを購入しないとメーター誤差が生じて車検に通らなくなります。
また、車の部品にタイヤが接触するなどのリスクが高まる可能性もあるので危険です。インチアップをする際は、ネットなどで適切なサイズを調べてから購入することをお勧めします。
ホイールの規格やサイズも要注意
一言にホイールと言っても、全てが同じ規格ではありません。ナットを取り付ける穴が4~6つとさまざまだったり、その穴の間隔を1つの円とした場合の直径(PCD値)が異なっていたりするので、必ず愛車に合ったホイールを買う必要があります。
例えば、C27型の日産セレナの場合は5穴のPCDが114.3ミリメートルであるのに対し、2017年以降に製造されたトヨタ86の場合は5穴のPCDが100ミリメートルと、同じ穴数でもPCD値は異なるので、必ずよく調べたうえで購入しましょう。
自己カスタムはトラブル発生の可能性も考慮しよう
安いからとネットで購入したタイヤで自己カスタムをすると、外径が合わなかったり、そもそもホイールが車に取り付けられなかったりするなどのトラブルが起こる可能性があります。
インチアップなどをする際は、安易に手を出さずに入念に調べたうえで購入する、信頼できるお店に相談するなどしてタイヤ等を購入するようにしましょう。
出典
日本自動車タイヤ協会 タイヤ関連法令(抜粋)
国土交通省 道路運送車両の保安基準(2023年6月5日現在)
JAF(一般社団法人日本自動車連盟) [Q]タイヤのサイズを変えると違反になりますか?
日産自動車株式会社 Qセレナ(2016/08~2022/12・C27型)(2018/03~2022/11・HC27型) タイヤサイズ・空気圧、ホイールサイズ・PCD・ハブ穴径・インセット(オフセット)量を教えて。
トヨタ自動車株式会社 Q:⼯場装着タイヤ・ホイールサイズを教えて。
執筆者:宇野源一
AFP