更新日: 2024.02.19 その他暮らし

円安で物価が上がっているというけれど、「円高」「円安」ってそもそもなに?

執筆者 : 田久保誠

円安で物価が上がっているというけれど、「円高」「円安」ってそもそもなに?
日本銀行が毎月発表している企業物価指数によると、2023年12月速報値の輸入物価指数は2020年平均を100とした指数は、円ベースで162.0となっています。
 
これは、輸入品の値段が上がるということですが、この基となっているのは為替です。今回は為替について見ていきます。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

為替とは

為替、特に冒頭の輸出入等の場合でいう為替とは、外国為替に関することです。製品の輸出入や海外の有価証券や不動産への投資等の取引を行う場合、その取引に対して、どの国の通貨で取引をするかを決め、自国通貨でなければ相手先の国の通貨あるいは、第三国の通貨に交換する必要があります。
 
その際の通貨を交換するための市場が外国為替市場で、その通貨の交換レートを外国為替相場といいます。
 

市場はいつどこで取引されているの? 誰がどのような通貨を取引しているの?

市場は世界中どこかで24時間取引が行われています。主に取引される市場は、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、東京ですが、それ以外にもウエリントンやシドニー、ドバイ等もあります。
 
市場への参加者は銀行等の金融機関だけでなく、一般企業や個人も参加しています。そのうち、金融機関間の取引が行われる市場を「インターバンク市場(銀行間取引市場)」といい、銀行と一般企業や個人との取引が行われる市場を「対顧客市場」といいます。
 
1日当たりの取引額は約7兆5000億ドルで、取引される通貨別のシェアは米ドル、ユーロ、日本円、イギリスポンドの順になっています。
 

円高・円安とは

円高とは、円の他の通貨に対する相対的価値が強くなった状態をさします。逆に、円安とは、円の他通貨に対する相対的価値が弱くなった状態をさします。
 
例えば、日本人が海外旅行に行く際、手元にある10万円をドルに両替する場合を見てみましょう。
 
為替相場が1ドル=100円であれば、10万円÷100=1000ドルと交換します。
 
為替相場が1ドル=80円になれば10万円÷80=1250ドルと交換することになり、海外で使えるお金の価値が上がったことになります(円高)。
 
逆に、為替相場が1ドル=125円になれば10万円÷125=800ドルとなり、同じ日本円で10万円でも海外で使えるお金が減ることになります(円安)。
 

なぜ円高になったり円安になったりするの?

通貨は他の財やサービスと同様、需要と供給の関係で値動きがあります。つまり、円の需要が大きければ円高になり、需要が少なければ円安になります。その需給バランスに影響を及ぼすのは、主に下記の3つです。
 

1.金利

例えば日本とアメリカの金利を比較した場合、日本の金利が高い場合は金利の高い日本円をほしいと思う人が多くなるので円高になります。逆にアメリカの金利が高い場合は円安になります。
 

2.物価

物の値段(物価)が上がる(インフレになる)と、その分企業活動や生活により多くのお金が必要となるので通貨の価値が下がります。逆に物の値段が下がる(デフレになる)と、お金の価値は上がります。インフレになると円安、デフレになると円高になります。
 

3.貿易収支

貿易収支は、輸出額と輸入額で求められます。輸出額>輸入額であれば貿易黒字、輸出額<輸入額であれば貿易赤字です。貿易赤字の場合、自国通貨を外貨に換えますので、その分外貨の需要が増え円安になります。逆に貿易黒字なら円高ということになります。
 

円高(円安)のメリット・デメリットは

円高になると、海外製品の購入や海外旅行等の際に手に入れることができるものが増えるというメリットがあります。個人の買い物や海外旅行であれば数万円程度のメリットになりますが、これが企業買収等であれば数億円単位の違いが出てきます。
 
逆にデメリットとしては、海外での日本製品の価格の上昇による競争力低下、訪日観光客の日本国内でのお金の利用額減などが考えられます。そして円安のメリットはその逆です。
 

円安で物価が上がるのは

円安で物価が上がる理由は、輸入品の価格(輸入物価)の上昇です。特に日本は、食料や原油や鉄鉱石のような多くの原材料の輸入に頼っていますので、どうしても物価の上昇は為替の影響(円安)を受けてしまいます。
 

まとめ

毎日のニュースで物価が上がっていることはなんとなく体感している方も多いかと思いますが、貿易立国である日本では国内要因だけでなく、為替の影響も大きいことが見て取れます。為替の動向を知ることによって、物価がこの先どうなるのかを予想することができるかもしれませんね。
 

出典

日本銀行 ホームページ
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

ライターさん募集