更新日: 2024.02.27 その他暮らし
年収400万円の夫が「ベンツ」を買うようです。「中古で200万円だから大丈夫」といいますが、このまま生活していけるでしょうか? 維持費も考えると不安な気持ちです…
そのような状況では車の維持費が実際にどれくらいかかるのか把握することが重要です。また、生活費の中で車の維持費が占めるべき割合も考えてみましょう。
執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)
CFP、行政書士
ベンツの維持費は年間40万円程度?
車の維持費は大きく分けると「税金」「保険」「メンテナンス代」「走行に必要な費用」に分けられます。実際にはこれらの区分に明確なルールはありませんが、本記事ではこのような分類で解説します。
車の維持にかかる税金には、自動車税(種別割)と自動車重量税です(取得時にかかる「自動車税(環境性能割)」もあります)。自動車税(種別割)は、排気量が増えるほど税額も上がります。自動車重量税は重量に応じて課税され、車両の重量が増えるほど税額も増えます。
2024年2月現在、排気量に応じて課税される自動車税(種別割)にはグリーン化特例、車両重量に応じて課税される自動車重量税にはエコカー減税が適用される場合がありますが、これらの特例は減税率が小さくなりつつあります。
保険には自賠責と任意保険があります。メンテナンス代は車検料金や点検費用などを指しており、走行に必要な費用はガソリンなどの燃料費や駐車場代などを意味しています。
図表1
筆者作成
それでは実際に車の維持費用にはどれくらいのお金がかかるかを見ていきましょう。図表2は、「軽自動車」「コンパクトカー」「普通乗用車」の3種類を比較しています。税金以外の金額は車種や地域特性によってやや異なる点や、車検代などは毎年かかるコストではない点にご注意ください。
図表2
税金や保険料の情報を基に筆者作成
※燃費は軽自動車、コンパクトカー:25km/L、普通自動車:15km/L換算、月1000km走行、ガソリン代は160円/Lで計算。駐車場代はすべて5000円/月で計算。
図表2ではベンツは普通自動車に該当します。ただし、車種やクラス(ベンツのグレード)によって排気量や重量に若干の差はあります。基本的な維持費は一般的な普通車と変わりませんが、ベンツなどの高級外国車の場合、修理費用や部品代が国産車よりも高い傾向にあるようです。昔に比べるとその費用は下がっているようですが、国産車に比べてコストパフォーマンスは劣る面があります。
また、ベンツの燃料は、レギュラーガソリンではなくハイオクです。リッター当たり10円程度の差があるので、50リットルの給油で500円程度の違いが出てきます。レギュラーガソリンよりも燃費がよいとされるハイオクでも、国産ハイブリッド車などと比較すると燃費が劣っているため、燃料費は増える可能性が高くなります。
年収400万円だと家計に占める車関連費の割合が高くなる。優先順位を考えて
年収400万円の場合、税金や社会保険料を差し引いた毎月の手取りは25~26万円程度になります。図表2の月額にローン代金を加えて、さらに4~5万円の支出とした場合、手取りの15~20%近くを自動車関連の支出が占める見込みです。
一方、総務省統計局が公表している家計調査年報(家計収支編)によると、夫婦2名以上の世帯で、自動車関連の金額は月額2万4532円となっており、消費支出29万円の中に占める割合は8~9%、可処分所得(約50万円)に対してはおよそ5%です。
この結果からは、今回のケース(年収400万円)でベンツなどの高級外国車を購入すれば、燃料費やメンテナンス代などの費用がかかり、将来の生活は苦しくなる可能性が高いといえるので、一般的には車体価格や維持費が安い国産車を選択したほうが良いというアドバイスになります。
ただし、家庭によって優先する項目は異なるので、絶対にNGとはいえません。さらに細かく今後の生活費が問題ないか検討したい人は、専門家に相談してみるのもおすすめです。
出典
国土交通省 自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例 等)
経済産業省 大きく変わった、クルマの税
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級