更新日: 2024.02.27 その他暮らし

【FP資格を解説(1)】FP資格は武器になる? 学んでおいて「損」はない?

執筆者 : 宮﨑真紀子

【FP資格を解説(1)】FP資格は武器になる? 学んでおいて「損」はない?
お金の話になると、時々ファイナンシャル・プランナー(FP)と呼ばれる人がコメントしている場面に遭遇します。資格講座でも人気があるFPですが、実際はどういう資格なのでしょうか。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

ファイナンシャル・プランナーを知っていますか?

通信教育事業の大手であるユーキャンが2023年12月19日にニュースリリースした意識調査によると、「2024年に武器になる資格」の1位は2年連続でファイナンシャル・プランナー(FP)だったそうです。
 
この数年で、人気となったFP資格です。筆者が今年いただいた年賀状にも「昨年ファイナンシャル・プランナーの資格をとりました」というものがありました。金融リテラシーを高める必要性やリスキリング(学び直し)が、この流れを後押ししていると考えられます。
 
10年前に比べて、FPの知名度は格段に上がりました。先日お会いした方から「実際にファイナンシャル・プランナーに合うのは初めてです。ライフプランを一緒に考えてもらえる人ですよね。この認識で合っていますか?」とたずねられました。
 
「はい、そうです」と答えたのですが、お金にまつわること諸々を扱っていますので、FP資格を持っていても保険・銀行・証券・不動産など、活躍の場はいろいろあります。それゆえに、どのような仕事かイメージできないこともあります。そのあたりを詳しく見ていきましょう。
 

FP資格はどのような業種の人が持っているのか?

日本FP協会のホームページによると、CFP®・AFP認定者の業種別属性は、生保・損保21% 証券20% 銀行・金融12% 不動産・住宅6%などとなっています。先出の年賀状の主は不動産関係の仕事をされている方です。
 
以前は「FP=保険屋さん」というイメージが強かったようですが、さまざまな業種で求められている資格であることがうかがえます。そのカギは、「ライフプランを一緒に考えてもらえる人ですよね」にあります。
 
就職して親から独立したら、いつまでも親を頼りにしてはいられません。とはいえ十分な蓄えがないなら、病気になった時の備えとして医療保険に加入することが考えられます。結婚して子どもが誕生したら、成人するまでの間に自分にもしものことがあった時の備えとして、死亡保険に加入するでしょう。
 
このように、人生の節目節目に保険加入を検討する機会がやってきます。また生命保険は自動車保険などに比べて契約期間も長く、10年20年先を見据えて契約します。自分の思い描く人生設計と密接につながる点で、保険業界とFPの相性が良いと考えられます。
 
不動産業界はどうでしょう。この業界におけるFP資格の保有率を高めた理由は2つあります。
 
かつてマイホームは、一世一代の大きな買い物でした。住み替えの概念は少なく“一生もの”なので、物件を購入してローンを返済することで完結していたと考えられます。ですが現在は、マイホーム(不動産)を資産として扱う傾向が強まりました。子育ての時期は広い家に住み、老後はコンパクトな家に住み替えるなど、フレキシブルに住環境を変えるケースも増えました。
 
不動産は金額も大きいので、それなりの準備が必須です。ライフプラン(キャッシュプラン)との擦り合わせの必要性が、1つ目の理由です。もう1つの要因は相続です。相続における不動産の存在は大きいです。不動産はもとより相続に関する知識を深めることで、アドバイスの幅が広がりますので、不動産と相続の分野が含まれているFP資格は業界になじみやすいといえます。
 
最後に、証券・銀行などの金融業界についてはいうまでもありません。今年始まった新NISAやiDeCoなどをきっかけに、資産運用に対する消費者の関心が高まっています。「資産を増やしたい」と思うことは良いのですが、「目的に向かって資産を形成する」という意識は少ないように感じます。
 
お金を貯める・増やす・守ることの専門家が、ライフプランに沿った運用の水先案内人として活躍する点でもFP資格は有効なのです。
 
ご存じのとおり、人生にはいろいろなステージがあります。例えば大人になって就職し、結婚・子育て・マイホームの購入・リタイアして老後の生活……。もちろん十人十色の人生がありますので、生涯結婚しない人もいれば何度か結婚する人もいますし、その時期もさまざまです。
 
CFP®・AFP認定者の業種別属性の内訳を見ると、「学生・主婦・主夫・その他」12%があります。お金にまつわる諸々の判断をする時、一般的な対処法ではなく「自分の場合はどうなの?」という場面があります。
 
専門家に相談して最終的な答えを出すにせよ、自分の中で優先順位や希望を整理するためにも、ある程度の知識は必要です。お金にまつわる知識を横断的に網羅する意味でもFP資格は有効です。仕事に使える武器になるかどうかは使い方しだいですが、“学んでおいて損はない”と断言したいと思います。
 
今回、【FP資格を解説(1)】では「FP資格は武器になる?」を考えました。次回【FP資格を解説(2)】では、「FP資格、興味はあるけど難しい?」をお伝えします。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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