更新日: 2024.03.08 子育て
返済しなくていい「給付型」の奨学金を受けるのは、難しいのでしょうか?
本記事では、アンケート調査の結果などをもとに、貸与型奨学金や給付型奨学金の利用実態を紹介するとともに、給付型奨学金を受ける条件が厳しいのかどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
奨学金の金額・返済期間の平均は?
カネとホンネ調査研究所が実施した「奨学金についてのアンケート」によると、奨学金の金額の平均は282万円、金額別の割合は図表1のとおりです。
【図表1】
奨学金の額 | 割合 |
---|---|
100万円未満 | 5.2% |
~199万円 | 16.9% |
~299万円 | 32.1% |
~399万円 | 22.5% |
~499万円 | 12.0% |
~599万円 | 5.6% |
600万円以上 | 5.6% |
カネとホンネ調査研究所「奨学金についてのアンケート」より筆者作成
全体の半分以上が200~399万円の金額帯である一方で、600万円以上の人も5%以上いる結果となっています。また、奨学金の返済期間は平均13.5年という結果です。22歳で大学を卒業した場合、返済が30代後半に差し掛かるまで続くこととなります。
返済不要の「給付型奨学金」を受けている学生の割合は奨学生の約6割
奨学金のなかには、返済の必要がない「給付型奨学金」と呼ばれるタイプもあります。独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査」によると、何らかの給付型奨学金を受給している人の割合は、奨学金を受けている人全体の61.4%です。
また、独立行政法人 日本学生支援機構「令和 2年度 学生生活調査結果」によると、日本学生支援機構が実施する奨学金のうち給付型奨学金の受給者率は10.2%となっており、全体の1割程度にとどまっています。
給付型奨学金を受ける条件は厳しい?
給付型奨学金は返済の必要がないぶん、受給の条件が厳しく設定されているのではないかと考える人は多いでしょう。給付型奨学金はさまざまな学校や団体が実施しており、それぞれ支給の条件が異なります。
ここでは、最もメジャーな奨学金である独立行政法人 日本学生支援機構の給付型奨学金の支給条件を見てみましょう。日本学生支援機構の給付型奨学金を受給するには、家計の基準と学力の基準の2つの基準を満たしている必要があります。
家計の基準
給付型奨学金の支援区分は3つに分かれており、それぞれの家計基準は表2のように設定されています。
【表2】
支援区分 | 家計基準 | 世帯年収の上限額の目安 (片働きの両親と中学生の兄弟1人の場合) |
---|---|---|
第1区分 | 学生本人と生計維持者が市町村民税所得割非課税 | 271万円 |
第2区分 | 本人と生計維持者の支給額算定基準額が合計100円以上2万5600円未満 | 303万円 |
第3区分 | 本人と生計維持者の支給額算定基準額が合計2万5600円以上5万1300円未満 | 378万円 |
独立行政法人 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」より筆者作成
世帯年収の上限の目安を見ると分かるように、家計基準は平均的な収入と比べて低い水準に設定されています。
学力の基準
給付型奨学金では、次のいずれかに該当することが学力基準とされています。
・高等学校等における評定平均値(全履修科目)が5段階評価で3.5以上
・将来、社会で自立して活躍する目標を持ち、大学などにおける学修意欲がある
高校での評定が平均3.5あることが1つの基準として設けられているものの、成績が基準に達していなくても本人の意欲があれば奨学金を受けられる可能性があるのです。学力基準は、それほど厳格ではないと言えるのではないでしょうか。
給付型奨学金は貸与型よりハードルが高いが受給者は多い
日本学生支援機構の給付型奨学金は、家計基準が低く設定されているなど、受給資格を得られる条件が貸与型の奨学金と比べて厳しめに設定されています。受給者も全体の1割と高くありません。
しかし、さまざまな実施主体の給付型奨学金を含めると、何らかの給付型奨学金を利用している人は奨学生の6割以上に及びます。学校や公益団体などさまざまな主体が給付型奨学金を提供しているため、利用条件に合うものがないか探してみるとよいでしょう。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 令和2年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専修学校生生活調査
独立行政法人 日本学生支援機構 令和元年度奨学事業に関する実態調査
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の学力基準
カネとホンネ調査研究所 奨学金についてのアンケート調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー