「白米」vs「玄米」主食にするならどちらがおすすめ? それぞれのコスパや栄養価について解説
配信日: 2024.03.20 更新日: 2024.03.21
執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
玄米は白米よりも高い?
インターネットを検索すると、玄米のほうが白米よりも価格が高いという記述がちらほら見られます。果たして本当にそうなのでしょうか。
筆者は日常的に白米と玄米を両方食べており、地元のお米屋さんで購入しています。同じ銘柄であれば玄米のほうが白米よりも1割引の価格で購入できます。お米屋さんになぜ玄米は安いのかと聞いたところ「玄米は1割がぬかで、玄米10kgは精米9kgと同じだから、1割引で販売している」からだそうです。
その考え方で1ヶ月のコストの違いを計算してみましょう。政府の統計では、2024年2月における東京での白米5kgの小売価格は2300円でした。玄米は1割引で購入できるとすると2070円です。
この価格から1ヶ月でどの程度差が出るのか計算してみましょう。ご飯1杯は炊飯前の精米で65gですから、1日3食で65×3=195g必要です。1ヶ月(30日)なら195×30=5850gの米を食べることになります。
先ほどの価格で計算すると玄米は2070×5850÷5000=2422円、白米は2300×5850÷5000=2691円で、玄米のほうが269円安いという結果になりました。玄米のほうが安いもののそれほど大きな差ではありません。
白米と玄米の栄養価の違い
次に、白米と玄米の栄養価が具体的にどの程度違うのか調べてみました。
図表1
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)より筆者作成
カロリーやタンパク質などは、玄米も白米もほとんど変わらないものの、ミネラルやビタミンなど多くの項目で玄米のほうが白米よりも栄養価が高いという結果が出ました。栄養を気にする人は玄米を選んだほうがよいでしょう。
玄米にかかわる悪いうわさ
玄米は硬い、ヒ素や農薬が多いと聞いたことがある人もいるかもしれません。それらが本当なのか説明します。
玄米は硬い?
玄米はぬかが皮のように周囲を覆っているため、白米よりも食感が硬いことは確かです。しかし、上手に炊飯すればプチプチした食感が逆においしいと感じることもあります。
そうはいっても、白米よりもしっかりとかんで食べる必要があります。よくかんで食べなければ消化不良を起こす場合があるからです。
玄米はヒ素が多い?
白米と比べると、玄米のほうがヒ素を多く含むという農林水産省の調査結果があります。しかし、同調査結果では同時に「ヒ素による明らかな健康への影響は認められず、食品からのヒ素の摂取に問題があるとは考えていない」という記述もあります。つまり、問題があるレベルの含有量ではないということです。
玄米には残留農薬が多いから危険?
米の残留農薬は精米によって80%以上が除去されるとされています。つまり、米の残留農薬はぬかに多いということです。そのため農薬が気になる人は、白米を選んだほうがよいかもしれません。
しかし、日本における農薬の残留基準は「毎日摂取し続けても生涯健康への悪影響がない摂取量」など厳しい水準が設けられているため、実際の影響はほとんどないものと思われます。
玄米はまずい? おいしく食べるためのコツ
単純に玄米はまずいので食べたくないという人もいるでしょう。確かに白米と同じように炊飯するとボソボソして硬い炊き上がりになってしまいます。しかし、玄米に適した炊飯をすれば白米と遜色ありません。玄米を炊飯する際のポイントは以下の4点です。
1. 軽く洗う
2. 水を白米の1.5倍に
3. 一晩浸す
4. 炊飯する
玄米は白米のようにぬかを落とす必要がないため、米は研がなくても大丈夫です。玄米に混じったほこりやもみ殻などを取り除くイメージで軽く洗うとよいでしょう。
炊飯器に玄米炊きの機能がある場合は、一晩浸す必要はありません。白米と同様に炊飯すればおいしく炊き上がります。
まとめ
玄米は、白米よりも高い、まずい、硬いなどの誤解が広まっているように感じます。実際は白米よりも安いことが多く、硬さなどもきちんと炊飯すれば問題ない程度にまで落ち着きます。栄養価は白米よりも玄米のほうが高いため、栄養面を気にするのであれば玄米食を試してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省 小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編) 月次
公益社団法人米穀安定供給確保支援機構 茶わん1杯のごはん
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
農林水産省 食品に含まれるヒ素の実態調査
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士