更新日: 2024.03.26 その他暮らし
生活保護受給者は指定病院の医療費が無料? 指定病院以外で受診したときの費用はどうなるの?
指定医療機関以外を受診した際の医療費は、全額自己負担となるため、注意が必要です。
本記事では、生活保護受給者が指定医療機関以外を受診した場合の医療費についてと、生活保護の医療扶助支給対象外になるケースについてもご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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指定医療機関なら医療費は無料だが指定病院以外では全額自己負担
生活保護を受けている方は、指定医療機関であれば無料で診療を受けられますが、指定医療機関以外での医療費は全額自己負担です。
指定医療機関とは、生活保護受給者の診療を自治体から認められた医療機関の総称で、生活保護受給者が医療機関にかかるときは、指定医療機関を受診する必要があります。
生活保護制度では、困窮のため最低限度の生活を維持できない方が医療費を全額自己負担しなくてすむように、ほとんどの生活保護受給者の医療費を全額負担する医療扶助があります。
医療扶助は、医療費を現金で払い戻すことはせず、治療を直接受けられる現物支給が原則です。
生活保護制度における医療扶助
生活保護を受給すると受けられる扶助の1つに医療扶助があります。医療費のかからない指定医療機関での診療を受けるためには、医療扶助の申請が必要となります。東京都福祉保健局生活福祉部によると、手続きの流れは次の通りです。
●生活保護受給者は福祉事務所に医療扶助の申請をする
●申請を受けた福祉事務所で要否意見書を発行する
●生活保護受給者は要否意見書を持って医療機関を受診する
●医療機関から渡された要否意見書を福祉事務所へ提出する
●福祉事務所から交付される生活保護受給者にかかわる医療券を基に、診療報酬明細書を作成・請求すると診療報酬が支払われる
なお、厚生労働省によると医療扶助の範囲は次の通りとなります。
「診察」
「薬剤又は治療材料」
「医学的処置、手術及びそのほかの治療並びに施術」
「居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話そのほかの看護」
「病院又は診療所への入院 及びその療養に伴う世話そのほかの看護」
「移送の範囲内で実施」
医療扶助の対象外になる費用
生活保護受給者は医療扶助を受けることができますが、医療扶助の対象外となる費用がありますので、確認しておきましょう。
入院時の差額ベッド代
入院時の医療費も医療扶助から支給されますが、差額ベッド代は医療扶助の対象外です。入院時の費用すべてが生活保護から支給されるわけではなく、後日病院から差額ベッド代を全額請求されます。
先進医療費
放射線治療の「陽子線治療」「重粒子線治療」「内視鏡手術ロボット(ダビンチ)」などと呼ばれる先進医療は、そもそも国民健康保険の対象外です。
国民健康保険の対象外である先進医療は、医療扶助でも対象外になります。
治療目的以外の整骨院・整体
医療扶助はあくまで治療に対して支給されるため、緩和が目的である、マッサージ、針、おきゅうは治療とはみなされず医療扶助の対象外になる可能性があります。
ただし、治療に際して医師が「整体・整骨院に通う必要がある」と判断した場合は医療扶助の対象となる場合があります。
生活保護受給者は原則指定病院以外の受診はできない
生活保護受給者が、指定医療機関以外の病院を受診すると全額自己負担になります。
また、国民健康保険の給付対象外である差額ベッド代や先進医療費、整骨院・整体などは医療扶助でも支給対象外なので注意しましょう。
出典
東京都福祉保健局生活福祉部 生活保護法及び中国残留邦人等支援法 指定医療機関のしおり 令和3年3月版
厚生労働省 健康管理支援事業及び医療扶助について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー