更新日: 2024.04.21 その他暮らし
同棲中の彼氏が「全部敷金で対応できるから」と家を汚しても知らんぷりしてくるのですが、敷金だけで収められない場合、どうなるのでしょうか?
そこで、賃貸物件の退去時、敷金だけで原状回復費用が収まらない場合、どうなるのか考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
敷金の役割は?
まずは、敷金の役割から確認していきましょう。敷金とは、一般的に、賃貸住宅への入居時に、借り主が貸主に対して差し入れるお金のことです。相場は地域や物件などによっても異なりますが、おおむね月額賃料の1ヶ月から2ヶ月分となることが想定されます。
例えば、家賃7万円の物件であれば、7万円から14万円が、一般的な額の敷金となります。
そして、敷金は借り主から貸主に差し出す、担保としての役割を果たすものです。具体的には、借り主賃料や物件の破損および汚損の原状回復にかかるお金を、借り主側が払えなかったときに、充当されるものになります。もし、そういった事柄がなく、敷金の充当がされなかった場合、敷金は全額返還されます。
つまり、借り主は汚い使い方をして退去時にそれらの債務を負ったまま退去しても、基本的に敷金からそれらの額が差し引かれるだけで、債務を負うことは少ないのです。
もし、敷金だけで収まらない部分が出てきたときは?
では、家の使い方があまりにもひどく、退去時に負った債務から敷金を差し引くだけでは収まりきらなかった場合は、どうなるのでしょうか。
この場合は、退去する際に清算した上で、不足分を支払うことになります。この場合、敷金は1円も返ってきません。
近年ではガイドラインが明確に定められ、敷金は全額返ってくることが原則です。清算時に修繕費などが発生したとしても、その額が差し引かれるだけで、残額は返還されます。
「退去時修繕にかかるお金があっても、敷金は残額が返ってくることが原則だ」ということを覚えておいてください。
敷金の存在は絶対ではない
前項までは「敷金は全額、もしくは修繕費用を差し引いた残額が返還される」という点について説明しました。しかしこれは「敷金を差し入れれば、それ以上に請求されることはない」というわけではありません。先に説明したように、敷金を超える額の損害などが発生していれば、その額はしっかり請求されることになります。
ときに不動産は原状回復のために、想像を超えるような多大な額のお金を要することがあります。それは特に「無断でエアコンを取り換えた」というように、住居内の設備の一部を変更しているような場合です。契約内容にもよりますが、元の状態に戻すことが義務付けられると、10万円を超えてしまうような場合も考えられます。
そうなると、敷金の額を超えてしまい、退去時に原状回復費用を請求される可能性もあります。
その点を鑑みると、「敷金を入れているから」とあまりに自由にしすぎる場合、後々多額の請求を受ける可能性があり、危険だと考えられます。
まとめ
敷金で対応できるのは、敷金の範囲内の修繕費用のみです。例えば、7万円の敷金を差し入れていれば、敷金で担保されるのは7万円までです。どれだけ部屋を汚したりしても、全額敷金で賄える、とは限りません。
もし、敷金をアテにして家を好き勝手に汚している場合は、退去時のことを鑑み、丁寧に使う方向にシフトしていくことをおすすめします。
出典
国土交通省 これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント
執筆者:柘植輝
行政書士