更新日: 2024.04.25 その他暮らし

母が兄の借金の保証人になったようです。借金を代わりに負担することになりませんか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

母が兄の借金の保証人になったようです。借金を代わりに負担することになりませんか?
「どんな相手でも関係なく借金の保証人になってはいけない」という話を、親や周りから言われたことがある人もいるのではないでしょうか。借金の保証人になって、膨大な借金を背負ったり、全財産を失ったりした人をテレビなどで見たことがある人もいることでしょう。
 
借金の保証人になると、債務者に代わって借金の返済義務が発生する可能性が高い状態になります。「絶対に迷惑をかけないから」と言われたとしても、それが口約束にしか過ぎないケースも十分に有り得ます。
 
本記事では、借金の保証人の種類、保証人になることで起こり得るリスクについて詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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借金の保証人の種類

借金の保証人には、保証人と連帯保証人の2種類あり、大まかな違いは以下のとおりです。
 

・保証人:主債務者が返済できない場合に債務返済の義務を負う
・連帯保証人:主債務者と同様の債務返済の義務を負う

 
本項では、それぞれの違いについて解説します。
 

保証人は主債務者が返済できない場合に債務返済の義務を負う

借金の保証人は、催告の抗弁権(民法第452条)によって、債務者に代わって借金の請求を受けた際に、自らの返済の拒否が可能です。また、保証人は、検索の抗弁権(民法第453条)を持っているため、債務者に返済資力があるにも関わらず返済を拒否した場合に「まず債務者の財産を差し押さえてほしい」と主張できます。
 
そのほかにも、保証人は分別の利益によって、返済の範囲は保証人の人数で割った金額です。保証人AとBとCがいる場合、仮にBとCが支払いに応じなかったとしても、保証人AがBとCの肩代わりをしたり、請求を受けたりすることはありません。
 

連帯保証人は主債務者と同様の債務返済の義務を負う

主債務者が借金の返済が困難になった際に、その返済義務を背負うのは保証人も連帯保証人も同じです。しかし、連帯保証人は保証人と比べて責任が重く、保証人の権利である催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益が認められません。
 
連帯保証人は、主債務者と同様の返済義務を有しており、返済の範囲は全額、かつ返済を請求されたタイミングから支払いに応じなければなりません。そのため、主債務者が借金の返済をしない場合、早急な回収を行うことを目的に、債権者は主債務者ではなく連帯保証人に返済を求めることも有り得ます。
 

借金の保証人になるリスク

借金の保証人になるリスクは、以下のとおりです。
 

・主債務者に代わって返済を要求される可能性が高い
・主債務者が債務整理をした場合は残債を一括請求される恐れがある

 
本項で、それぞれについて解説します。
 

主債務者に代わって返済を要求される可能性が高い

借金の保証人になると、自分で借りたお金ではなくても債務者の代わりに返済の責任を負わなければなりません。ただし、保証人か連帯保証人なのかによっても、借金に対する責任の度合いが異なります。
 
連帯保証人になっている場合は保証人と異なり、債務者が返済に応じなければ、代わって支払わなければなりません。借金の金額によっては、預貯金や自宅などのすべての財産を失うこともあるでしょう。
 

主債務者が債務整理をした場合は残債を一括請求される恐れがある

主債務者が自己破産や個人再生などの債務整理を行った場合、連帯保証人に対して残債を一括請求される恐れがあります。自己破産や個人再生によって、債務の免除や減額ができたとしても、連帯保証人の借金返済の義務がなくなるわけではありません。
 
連帯保証人も支払いが困難な状況であれば、同様に債務整理を行って解決するしか対処法はないでしょう。
 

借金の保証人になったら自分の借金と同じであると考えよう

借金の保証人になり、債務者が返済不能に陥った場合、その借金を保証人が背負うことになります。債務者が借金を返済しないまま逃げることも、実際によくある話です。
 
借金の保証人を依頼されたら「自分の借金である」と考える必要があります。借金の保証人になるリスクの高さを理解し、許される状況であれば断ることも検討しましょう。
 
その際には「連帯保証人になって万が一のときの対応が難しい」「借金が理由で関係性を悪化させたくない」など、具体的な理由を提示してみてください。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
法務省 2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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