更新日: 2024.05.07 その他暮らし

父が施設に入ったので少しずつ荷物を整理しています。引き出しから繰越済みの預金通帳やら年金手帳やら、何冊か出てきました。新しいものだけ取っておけばよいでしょうか?

父が施設に入ったので少しずつ荷物を整理しています。引き出しから繰越済みの預金通帳やら年金手帳やら、何冊か出てきました。新しいものだけ取っておけばよいでしょうか?
親が施設に入居したことをきっかけに、荷物の整理に着手するケースは多いでしょう。しかし、本人にしか分からない古い書類や、過去の通帳などが次々と出てきて、扱いに困った人もいるのではないでしょうか。
 
古い通帳や年金手帳は、安易に処分してしまうとのちのちになって後悔する可能性があります。本記事では、親の荷物から古い通帳や複数の年金手帳が出てきたときに処分しないほうがよい理由や、適切な対処法をまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

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繰越済みの預金通帳は捨てないで取っておくと安心

結論から言うと、親の古い通帳は、繰越済みのものでも捨てずに保管しておくほうがよいでしょう。例えば、現行の通帳の内容で疑問に感じることがある場合に、認知症の症状が進行して親の説明が不明瞭になっても、古い通帳をたどることでお金の流れが分かることがあります。
 
特に、次のようなケースは過去の通帳は重要となるため、安易に捨てないように注意しましょう。

・親が個人事業主の場合
 
・相続が発生して財産の調査が必要な場合

以下で、それぞれについて解説します。
 

親が個人事業主の場合は書類のひとつとして一定期間保管が必要

親が個人事業主として事業を営んでいた場合、事業活動の関係書類として、預金通帳を一定期間保管する義務があります。保存期間は7年ないし5年と定められているため、法律にしたがって保管しておくようにしましょう。
  

相続が発生すると通帳をさかのぼらなければならないことがある

相続が発生した際には、古い通帳は重要な資料です。例えば、定期預金の満期金の流れなど、お金の動きを把握し、最終的な相続額と突き合わせするのには、古い通帳が役立ちます。
 
また、相続税の生前贈与加算は、相続開始前7年以内が対象です。亡くなる前の7年間にわたって相続税の課税対象となる贈与がないかどうかの調査をする際や、のちのち税務調査が入った際に不正がないことを証明するための資料としても、過去のお金の動きが分かる通帳は有効です。
 
銀行に申請して取引履歴を取り寄せることも可能ですが、手間と費用がかかります。古い通帳を保管しておくことで、時間とお金の節約になるでしょう。
 

年金手帳が複数ある場合は基礎年金番号を確認しよう

親の荷物から複数の年金手帳が出てきた場合は、すぐに処分せずに、年金手帳の表紙の色と基礎年金番号を確認しましょう。
 
すべての年金手帳の番号が同一の場合は、どれか1冊を残して残りは処分して構いません。表紙の色が以下の場合は、年金記録などに不備がある可能性があるため、適切な手続きが必要です。
 
・すべて青色以外(茶、オレンジなど)の年金手帳の場合
 
基礎年金番号通知書の有無をチェックしましょう。基礎年金番号通知書に記載された番号が、正しい基礎年金番号です。通知書が見当たらない場合は、再発行を依頼しましょう。
 
・すべて青色の年金手帳の場合
 
基礎年金番号が二重に発行されている状態です。
 
・青色とほかの色の年金手帳の場合
 
基礎年金番号による管理ができない年金記録がある可能性がある状態です。
 
上記3つのケースの場合は、年金事務所(在職中の場合は会社の社会保険担当)にすべての年金手帳を持参して、手続きを行う必要があります。
 
また、表紙に「国民年金手帳」の記載がある手帳には、保険料の納付を証明する国民年金印紙が貼付されているため、年金を受給するまでは保管が必要です。
 

古い通帳や年金手帳はむやみに捨てないで

古い通帳には、本人にしか分からないような、昔からのお金の流れが記録されています。そのため、認知症などで本人に確認するのが難しい情報や、相続の手続きで必要な情報が得られる資料として、保存しておくのがおすすめです。また、本人が自営業者の場合は、保管が義務付けられた書類に該当するケースもあります。
 
年金手帳が複数出てきた場合は、捨ててしまう前に、記載されている番号などをチェックしましょう。場合によっては年金記録に関する手続きが必要となるため、安易に処分するのは危険です。本人が施設に入っている場合は、子どもなど親族が保管しておきましょう。
 

出典

国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
国税庁 記帳や帳簿等保存・青色申告
日本年金機構 年金手帳が複数冊あります。どうすればいいですか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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