今度自動車免許をとるのですが、父が「MT免許にしろ」と言ってきます。いざというとき役に立つとのことですが、「AT」のほうが楽でいいのではないでしょうか?
配信日: 2024.05.12 更新日: 2024.05.13
本記事ではMT免許とAT限定免許それぞれのメリットを考えながら、どちらを選ぶべきか考えていきます。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AT限定免許のほうが楽に、安く免許を取得できる
MT免許よりもAT限定免許のほうが楽に、しかも安く免許を取得できます。具体的に見ていきましょう。
AT限定のほうが免許取得にかかる費用が約2万円安い
都内3つの自動車学校・ドライビングスクールで免許を取得する際に必要な費用を、AT限定免許とMT免許で比較すると図表1の通りです。
図表1
せたがや自動車学校、コヤマドライビングスクール二子玉川、日の丸自動車学校の料金表より筆者作成
約1万4000円から約1万9000円まで差はあるものの、いずれの自動車学校でもATのほうが費用を抑えられます。運転免許の取得費用は30万円台と高額ですが、学生など金銭的に余裕がない人が取得することも多いので、この差は決して小さくないように思えます。
AT限定のほうが教習時間は短くて済む
教習所の卒業に必要な技能教習の時限数はAT限定が31時限なのに対し、MT免許は34時限です。1コマは50分ですが準備などを含めて約1時間必要と考えると、AT限定のほうが3時間少ない教習時間で取得できます。
なお、1日に受けられる技能教習は最大3時限と定められています。したがって、最低1日はMT免許のほうが、余計に時間がかかるのです。
AT車のほうが運転しやすい 技能検定に落ちるとさらに時間とお金がかかる
AT車はアクセル、ブレーキとハンドル操作だけで車を運転できるのに対し、MT車はクラッチ操作が必要です。MT車はクラッチ操作に慣れないとエンストを起こしたり、坂道発進の際に後ろに下がってしまったりとAT車よりも運転難易度が上がります。
図表1の料金はあくまでも、毎回の技能教習や仮免許・卒業といった技能検定を全て一発で通った場合のものです。補修や再検定が発生すると1回につき約5000円から約6000円の追加負担が発生します。
運転難易度が高いMTを選ぶことで、追加費用発生の可能性は上がります。AT限定で取得するのに比べて、費用負担が大きくなる可能性もある点も知っておきましょう。
MT免許でとることのメリットは?
次にMT免許をとることのメリットを考えていきましょう。
乗りたい車がMT車だったときにも困らない
近年、新車で販売されている車の多くはAT車ですが、クラシックカーやスポーツカーの中にはMT車が多く存在します。自分が車好きという場合は、憧れの車がMT車だったというケースのために、MT免許を取っておいたほうが良いでしょう。
またトラックやバスなどはまだまだMT車が残っています。将来こういった大きな車の運転を考えているのであれば、普通免許取得のタイミングでもMT免許にしておくとスムーズです。もしかしたら、MT免許を持っていることで、就職活動の際に有利に働くかもしれません。
レンタカーなどがマニュアルだったときでも乗れる
MT免許であれば、もしMT車のレンタカーや友人の車を運転しなければならないときに役立ちます。レンタカーでも荷物を運ぶトラックや軽トラはまだまだMT車が残っているようです。
ただし、MT免許があることとMT車を運転できる技術があることは、意味が違います。AT車ばかりを運転していた場合、いざMT車を運転することになったとしても、法律的には乗れても技術的に乗れない可能性があることは知っておきましょう。
最初からMT免許にしておいたほうがトータルで安い
AT限定免許からMT免許に切り替えるには、限定解除という手続きが必要です。方法は2つあります。
1つは運転免許センターで技能試験を受けて合格する方法です。しかし、MT車を運転したことのない人が合格できる見込みは低く、現実的ではありません。
もう1つは教習所で限定解除教習を受けた上で審査に合格し、運転免許センターで手続きをする方法です。費用は図表1の通り教習所によって違いますが、高いと10万円前後かかります。
AT限定免許のほうが安く取れるといっても、せいぜい1~2万円程度です。したがって最初からMT免許を取ったほうが、トータルの費用を抑えられます。
すぐに必要ないのであればAT限定免許でいい
ここまでAT限定免許とMT免許のメリットをそれぞれ解説しました。将来的にMT車に乗りそうな人、後からお金がかかるのが嫌な人はMT免許を取るべきでしょう。
一方で、まずは運転免許の取得を優先したい人はAT限定免許を選ぶことで、費用と時間を抑えられます。
ただ考えておきたいのは、MT免許を持っていてもMT車に乗っていなければ、技術的には乗れなくなる可能性が高いことです。確かに限定解除にかかる費用は高いのですが、MT車の運転技術も一緒に手に入ると考えることもできます。最初はAT限定免許をとって、必要なときに教習所に通うという方法も悪くないでしょう。
出典
せたがや自動車学校 料金表
コヤマドライビングスクール二子玉川 普通車一種(AT/MT) PRICE LIST
日の丸自動車学校 料金案内
日本レンタカー 車種・料金 バン・トラック
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士