がん治療により外見が変わってしまいウィッグを購入したいのですが、国の助成は受けられますか?
配信日: 2024.05.14
人目につく変化であるとともに、当然患者本人は1人悩みを抱えたまま苦しんでいます。そうしたがん患者に対して、行政が支援に乗り出しています。本稿では東京都のがん患者へのアピアランス(appearance・「外観や人の容貌」を意味する)を見ていこうと思います。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
目次
東京都のがん患者へのアピアランス・・・助成の額
東京都のがん患者へのアピアランスは、各区市町が窓口となって行っていますが、すべての区市町村で行われているわけではありません。また、行っている区市町によって助成の対象となる額も異なります。
図表1は東京都保健医療局の「ウィッグ購入費等助成事業を実施している区市町村一覧」のページに載っていた区市町のうち、区に絞り、各区のページを閲覧して作成しました(図表1には八王子市や調布市などの多摩地域は載せていませんが、多摩地域の市等で実施しているところもあります)。
図表1
東京都のがん患者へのアピアランス支援・・・助成の対象となる方の例
例として、ここで千代田区を挙げます。ご自身がお住まいの地域については、各区市町のサイトを確認してください。
・申請日時点で千代田区に住民登録のある方
・がんと診断され、現在その治療を行っている方
・がんの治療に伴う脱毛や乳房の切除などにより、ウィッグや胸部補整具を必要とする方
・本事業において助成金の交付を受けたことがない方。また、他の法令等に基づく同種の助成などを受けていない方(18歳未満で交付や助成を受けた場合は除く)
(出典:千代田区「ウィッグや胸部補整具などの購入など費用助成のご案内」)
東京都のがん患者へのアピアランス支援・・・助成の対象となる物品
助成の対象となる物品の例として、先述の千代田区を例に挙げます。がん患者へのアピアランスの支援事業ということで、実施している区市町で大きな差はないですが、お住いの各区市町のサイトを確認してください。
・ウィッグ(部分ウィッグや装着用のネット、スタンドを含む)
・帽子
・胸部補整具(補整下着、補整用シリコンパッド、人工ニップル等)
(出典:千代田区「ウィッグや胸部補整具などの購入など費用助成のご案内」)
まとめに代えて
がん治療に伴う経済的な負担は、病院や薬局に払う治療費だけではありません。アピアランスにも費用が掛かります。
しかし、アピアランスの場合、経済的な負担があるからといって、そのままの状態にしておくと、仕事への意欲や生活におけるモチベーションの減退などにもつながることが考えられます。外見上の変化に伴い、例えば人前に出にくくなってしまうなどです。支出が増えるだけでなく、収入の減少にもつながります。
東京都のアピアランス支援は、患者に対する経済的な支援だけではなく、がんの治療は治療費以外にもお金がかかるという情報発信にもなります。
出典
千代田区 ウィッグや胸部補整具などの購入等費用助成のご案内
東京都保健医療局 ウィッグ購入費等助成事業を実施している区市町村一覧
東京都保健医療局 がん患者へのアピアランス支援事業
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役