保育園調理師の知人が「余った給食を持ち帰って家庭の夕飯にしたい」と言っていましたが、法的な問題はないのでしょうか?

配信日: 2024.05.18 更新日: 2024.05.20

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保育園調理師の知人が「余った給食を持ち帰って家庭の夕飯にしたい」と言っていましたが、法的な問題はないのでしょうか?
保育園や幼稚園、学校などの給食が余ったとき、調理師が持ち帰っている―そんなケースを耳にしたことはないでしょうか。
 
「余った食品を捨てるのはもったいない」
「どうせ捨ててしまうなら家族でおいしくいただいたほうがよい」
 
そう言って持ち帰る行為は、一見エコに配慮しているようにも見えます。
 
今回は、園や学校などの施設で余った食事を職員が持ち帰るケースについて、法的な視点から解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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残り物を持ち帰ることは、犯罪に該当する可能性が

給食などの残り物を持ち帰ることは、窃盗や横領などの罪にあたる可能性があります。
 
「どうせ捨てるのだから、持ち帰って有効活用したほうがよい」
 
こういった考えは理にかなっているようにも思えますが、給食はもちろん有料です。園児や児童生徒の保護者、園や学校、そして自治体がお金を出して購入しているものです。
 
その食材や食品を自分のものにし持ち帰る行為は、物を盗んでいるのと同じことだといえるでしょう。
 

残り物を持ち帰ったときに問われる可能性がある刑罰・罰金

残り物を持ち帰った場合、どのような罪に問われるのでしょうか。また、罰金や罰則はどうなっているのでしょう。
 
ここでは問われる可能性の高い窃盗罪や横領罪、学校給食衛生管理基準について解説します。
 

窃盗罪や横領罪

食べ物を不当に自分のものにして持ち帰る行為は、刑法235条の窃盗罪や刑法252条の横領罪にあたる可能性があります。
 
刑法によれば、窃盗罪の場合は10年以下の懲役または50万円以下の罰金、横領罪の場合は、5年以下の懲役が課される可能性があります。
 

学校給食衛生管理基準の違反

学校給食の場合、持ち帰りの行為は「学校給食法」にも違反する可能性があります。
 
文部科学省が学校給食法に基づき示した「学校給食衛生管理基準」には、「パン等残食の児童生徒の持ち帰りは、衛生上の見地から、禁止することが望ましい」「パン、牛乳、おかず等の残品は、全てその日のうちに処分し、翌日に繰り越して使用しないこと」との記述があります。
出典:文部科学省「学校給食衛生管理基準」
 
安全上の理由からも、食品の持ち帰りは禁止されているようです。
 

給食を持ち帰らなくても食費を節約するポイント

ここまで見てきたように、残り物の持ち帰りは、法的に問題となる可能性があります。そのようなリスクを冒さなくても、食費を節約するポイントはあります。
 
具体的には以下の方法を実践してみましょう。

●まとめて食材を買い、まとめて作る
●値引き商品やセールを活用する
●プライベートブランドを選ぶ
●キャッシュレスで買い物をし、ポイントをためる

上記のような工夫と自炊の習慣化で、給食の残り物を持ち帰らなくても食費をおさえられるでしょう。
 

給食の持ち帰りは大きな問題であり、法律違反の可能性がある

残り物の持ち帰りは、窃盗罪や横領罪に問われ、罰金や懲役などの罰則を受ける可能性があります。
 
食品衛生上も問題がありますし、園児や児童生徒、保護者からの信頼を失うおそれもあります。そのようなやり方を選ぶより、買い物の工夫などで賢く食費を節約するほうがよいでしょう。
 

出典・参考

デジタル庁e-GOV法令検索
 刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六章 窃盗及び強盗の罪

 刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十八章 横領の罪
文部科学省 別紙1 学校給食衛生管理基準(平成21年文部科学省告示第64号)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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