更新日: 2024.05.27 その他暮らし

昭和に「iPhone」があったら29万円!? 1ドル75円なら「約6万円」だけど、ドルって安いほうが「お得」なの?

昭和に「iPhone」があったら29万円!? 1ドル75円なら「約6万円」だけど、ドルって安いほうが「お得」なの?
日本の円と米国のドルなど、異なる通貨を外国為替市場で交換するときの交換比率のことを、為替相場、為替レート、通貨レートなどといいます。本記事では、ニュースを見ながら家族の疑問に答える場面を想定し、為替レート、円高・円安について紹介します。
福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

戦後の日本は固定レート制度だった

為替レートの制度には固定レート(固定相場制)と変動レート(変動相場制)の2つがあります。

●固定レート:交換比率を国の政策として固定します(1ドルは100円とする、など)。
●変動レート:交換比率の変動を市場の需要と供給に任せます(1ドルが何円かは時々刻々と変わる)。

第二次世界大戦末期の1944年、連合国はブレトン・ウッズ協定を締結しました。

●協定の目的:自由貿易と資本移動の促進、世界経済の安定化
●協定の内容:アメリカ合衆国ドルを基軸とした固定レート制度

金(Gold)1オンス(約28グラム)と35ドルを常時交換可能とする金為替本位制であり、その他の国はドルとの交換比率を定めるものでした。日本は1949年に1ドルを360円に固定しました。
 

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1973年、先進各国は変動レート制度へ

1971年のニクソン・ショック(ドルと金の交換の一時停止を宣言した「ドル・ショック」)をきっかけに、固定レート制度を維持しながらの多国間調整が行われました(金1オンスは35ドルから38ドルに、1ドルは360円から308円に)。その後の1973年、先進各国は相次いで固定レート制度を放棄し、変動レート制度に切り替えています。
 

円高と円安

100円だった1ドルが90円の方向に変動すれば、ドルに対する円の価値が上昇したことになり「円高」と呼ばれます。逆に1ドル100円が1ドル110円の方向に変動すれば「円安」です。
 
変動レート制度への移行後、円の価値は長期的に上昇し(円高となり)、2011年には1ドル75円という最高値を記録しました。一方、足元では円安が急速に進行し、円の価値は2011年に比べて半分以下に下がっています。
 
米国では799ドルで販売されているiPhone15は、日本ではApple社公式サイトで12万4800円で販売されています(2024年5月24日時点)。これは1ドル156円に相当する価格設定です。もし為替レートが1ドル360円だとしたら、日本では28万7600円前後で販売されていたでしょう。逆に1ドル75円だとしたら約6万円で買えることになります。
 

なぜ固定レート制度はなくなったの?

第二次世界大戦で疲弊した西欧主要国と日本が復興し、経済成長していくにつれ、ドルが米国外に流出するようになり(貿易赤字)、1960年代に入るとドルの価値が揺らぎ始めます。
 
加えて米国のベトナム戦争介入による財政赤字とインフレの結果、ドルと交換するための金が足りなくなってきました。通貨体制の維持はもはや困難との判断が1971年のニクソン・ショックの背景とされています。
 
その後、段階的な多国間調整の時期を迎えたものの結果としてうまくいかず、1973年、ほぼ全ての先進国は変動レート制度に移行しました。
 
経済学的には、「固定レート制度」「自由な資本移動」「独立した金融政策」の3つの政策のうち、同時に実現できるものは2つであることがわかってきました。

●固定レート制度で自由な資本移動を実現しようとすると、自国の独立した金融政策を実現できなくなる。
●固定レート制度で独立した金融政策を実現しようとすると、相手国との自由な資本移動を実現できなくなる。

先進国は、為替の安定よりも、独立した金融政策と自由な資本移動の2つを重要視したといえます(ユーロ圏の先進国を除く)。
 

円高と円安、どちらが良いの?

日本企業や日本に住む人への円高と円安の影響は次のように説明されます。

●円高のメリット:輸入財や外国の資産、サービスを安く買える
●円高のデメリット:輸出企業の円での収入が減る、生産拠点が国外に移転する(雇用にマイナス効果)
●円安のメリット:輸出企業の円での収入が増える、生産拠点が国内に回帰する(雇用にプラス効果)
●円安のデメリット:輸入財や外国の資産、サービスが高くなる

円高と円安は、勤め先の業種や業態、外国資産の保有状況など、外国の企業や個人との関わり具合によって影響が異なるため、どちらが良いのかを一概にいうことはできません。ただ、国民経済、自国通貨の強弱などマクロ的な観点では、円高のほうが望ましいという考え方もあります。
 

まとめ

ニュースを見ながら家族の疑問に答える場面を想定し、為替レート、円高・円安について簡単に復習しました。役に立つ機会があれば幸いです。
 
執筆者:福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

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