引越し早々「家賃値上げのお知らせ」が届きました……無視してもよいでしょうか?

配信日: 2024.05.30

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引越し早々「家賃値上げのお知らせ」が届きました……無視してもよいでしょうか?
引っ越して入居後早々に「家賃の値上げのお知らせ」が届くケースは、ありえないことではありません。
 
特に、個人の貸主(大家さん)が管理している場合や、管理会社が小規模な場合は、時折こういうことが起こっているようです。そこで、家賃の値上げ請求が届いた場合の対応について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

引っ越してすぐの値上げ請求ってあり得るの?

前提として、貸主が家賃の値上げ請求をすること自体は認められています。
 
具体的には、不動産価格の上下や近隣の賃料相場の変動など、諸般の事情を加味し、現在の賃料が不相応になっている場合などに、請求できるようになっています。
 
しかし入居直後とあれば、一般的には契約したばかりであり、そのような賃料の値上げは起こりえないでしょう。また、一般的に値上げの通知が来るのは更新のタイミングです。契約条件が変わるタイミングで、同時に家賃も変わるというようなケースが考えられます。
 
とはいえ、値上げ請求が来ることはありえないことでもありません。引っ越し早々に通知が届いても、まずは慌てないようにしましょう。
 

無視しても大丈夫?

家賃の値上げ通知が届いても、無視をしてはいけません。トラブルの原因となるからです。家賃の値上げ通知は拒否することができますので、内容に同意ができなければ、無視ではなく拒否するべきです。
 
家賃の額は契約内容の一つであり、勝手に一方の当事者の要求で変えることができないからです。たとえ家賃の1円の増額であろうと、その点は変わりません。
 
値上げを拒否する場合は、値上げ前の家賃を支払いつづけるだけで足りるとされています。例えば「家賃を7万円から7万5000円へ、5000円値上げする」という通知が来ても、納得いかなければ従前の7万円を払い続けるだけでいいということになります。
 
仮に貸主が受け取りを拒否した場合、「供託」という方法をすることで、家賃を支払った場合と同様の効果を得ることができます。供託とは、本来支払うべき家賃を、貸主に代わって法務局に受け取ってもらう手続きです。供託についての詳細は、最寄りの法務局へ相談してください。
 

何円までの値上げ通知なら許されるの?

ここで気になるのは、家賃の値上げが何円までなら許されるのか、という点でしょう。
 
実は、「何円までなら許される」という明確な基準はありません。家賃は契約の一要素であり、基本的には当事者間の合意で決めることになるからです。
 
仮に貸主から値上げ通知が来たとしても、それはあくまでも契約条件の変更の申し出にすぎません。値上げが決定したわけでもないため、原則としてそこに金額の上限はないのです。
 
そのため、家賃の値上げ通知については「5000円の通知だから」「1万円の通知だから」と金額で考えるのではなく、自分が納得できる金額かどうかで判断することが大切でしょう。
 

まとめ

引っ越しして早々に家賃の値上げのお知らせが来る可能性は0ではありません。しかし、仮にそれが届いたとしても、値上げ通知は値上げの決定ではないので、値上げは拒否することができます。
 
とはいえ、絶対に無視してはいけません。無視することによって、不動産会社が同意したものとして新家賃を徴収・使用するなど、トラブルが起こる可能性があるからです。
 
値上げ通知が届いたものの、納得がいかない場合は、拒否した上で従前の家賃を払うようにしてください。
 

出典

公益財団法人全日本不動産協会 不動産お役立ちQ&Aより「家賃の改定と借家人の供託」
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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