更新日: 2020.09.07 子育て

妊娠から出産までの手続きと受けられる経済的な支援についてまとめてみた!

執筆者 : 新美昌也

妊娠から出産までの手続きと受けられる経済的な支援についてまとめてみた!
妊娠から出産までの手続きと受けられる経済的な各種支援制度について、ポイントを解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

妊娠が判明したら

産婦人科で妊娠と判断されたら役所に「妊娠届」を提出し、「母子健康手帳」と一緒に健診費用の助成が受けられる「妊婦健康診査受診票」(例:妊婦健康診査受診票14回分、妊婦超音波検査受診票1回分、妊婦子宮頸がん検診受診票1回分)などの交付を受けます。
 

妊娠中

妊婦健診を定期的に受けます。
 
自治体によって助成の内容は異なりますが総額で10万円程度の助成を受けることができます。
 
実家に里帰りし、地元の医療機関または助産所に支払った妊婦健康診査費用についても助成する制度があります(里帰り出産等妊婦健康診査費助成制度)。
 
領収証をとっておき後で還付請求します。
 
会社員の方は、産休前に会社の総務から出産手当金や育休休業給付金などの申請書をもらっておきましょう。
 

出産後

出産後14日以内に出生証明書を添付して「出生届」を自治体に提出します。
 
出産(正常分娩)は病気ではないので医療保険(健康保険など)の対象外です。
 
出産費用は40~50万円程度です。
 
この費用を助成するのが医療保険の出産一時金です。
 
妊娠4か月(85日)以上の出産(死産・流産も含む)は、子ども1人について42万円が支給されます。
 
産科医療補償制度に加入していない産院の場合は40.4万円が支給されます。
 
産科医療補償制度は、分娩、出産によって発生した重度脳性麻痺児に対しての補償制度です。
 
多くの産院では、医療保険から産院へ出産一時金を支払う「直接払い制度」があります。
 
この場合、窓口では出産一時金との差額を支払えばよいのでとても便利です。
 
産院でこの制度が利用できるか確認しておきましょう。
 
出産費用の方が一時金より安かった場合は差額が後日指定口座に振り込まれます。
 
会社員などは産休中(産前42日〈多胎の場合は98日〉・産後56日)に、申請により健康保険から「出産手当金」が支給されます。
 
会社から給料が出ない場合の支給額は1日あたり月給÷30日の3分の2で、産休を取った日数分もらえます。
 
なお、国民健康保険には出産手当金はありません。
 
雇用保険加入者で、育休前の2年間のうち1か月間に11日以上働いた月が12か月以上ある人など一定の条件を満たすと申請により「育児休業給付金」をもらえます。
 
会社から給料が出ない場合の支給額は育児休業開始から180日目(6か月目)までは月給の67%、181日目からは50%です。
 
原則1歳に達する日前までの子を養育するための育児休業を取得した場合に支給されます。
 
保育所等に預けられないなどの理由がある場合は1歳6ヶ月まで育児休業給付金の延長が可能です。
 
さらに、同様の状態が続くときは、2歳まで支給期間の延長を行えます。
 
なお、両親とも育休を取る場合は、休業可能な期間が1歳2か月に達する日に延長されます(「パパ・ママ育休プラス」)。
 

医療費控除

1年間に支払った医療費が10万円(所得が200万円未満なら所得の5%)を超えた場合、確定申告により所得税の還付を受けることができます。
 
なお、出産一時金など「保険金等で補てんされる金額」は医療費から差し引きます。
 
出産手当金や育児休業給付金は医療費の補てんではないので医療費から差引く必要はありません。
 
自分の医療費だけではなく、「生計を一にしている」家族の分も合算して申告できます。
 
出産に関連する医療費には妊婦定期健診費、分娩費、入院費、出産時のタクシ-代などがあります。
 
あまり知られていませんが、妊婦が病気やケガで医療機関を受診すると、医療費に上乗せされる妊婦加算が2018年4月からスタートしました。
 
医療費に、初診で750円、再診なら380円が上乗せ(加算)されます。知っておきましょう。
 

その他

赤ちゃんの医療保険(健康保険など)への加入、乳幼児の医療費助成の申請、児童手当の申請など忘れずに出生後すぐに行いましょう。
 
児童手当は申請が遅れた場合、申請前の分を溯ってもらうことができませんので損をしてしまいます。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー


 

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