女性の[歯]にかける医療費が6年で10%も上がっている謎

配信日: 2018.11.28 更新日: 2019.01.11

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女性の[歯]にかける医療費が6年で10%も上がっている謎
国民医療費は直近の調査で42兆1381億円となり、国民所得の1割を超える規模になっていますが、どこに原因があってこれほどまでに増えてしまったのでしょうか?
 
国民医療費を診療種類や性別・年齢階級で分けて探ってみました。
 
今回は国民医療費の歯科診療医療費を取り上げます。
 
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

歯科診療医療費は30歳代後半と60歳前後で減っている

歯科診療医療費は国民医療費42兆円のうち3兆円で、入院・入院外(通院)の医科診療医療費や薬局調剤医療費に比べたら規模は小さいですが、異なる傾向があるので取り上げることにしました。
 
下記の表は厚生労働省国民医療費から歯科診療医療費を性別・年齢階級別に一覧にしたものです。
 
一つ目の表が男性、二つ目の表が女性です。
 
歯科診療医療費がどのくらい増減しているかを確認できるよう、2010年から2016年までの7年間分を載せ、増減率も計算してあります。
 

 
男性2016年の結果を確認すると、全年齢の歯科診療医療費は1兆3084億円で、前年比111億円増、2010年からは1064億円増えています。
 
年齢階級別にみると65歳~69歳の歯科診療医療費が1477億円で最も多く、次が70歳~74歳の1221億円、その次が60歳~64歳の1076億円となっています。
 
6年前は60歳~64歳が最も多かったですが、2014年に逆転しています。
 
2010年の60歳~64歳と2016年の65歳~69歳はほとんど同じ戦後間もない頃に生まれた団塊世代の人達なので、時代的要因も何かありそうです。
 
入院・入院外(通院)の医科診療医療費が多い85歳以上は466億円で、30歳前後の医療費と変わらない程度です。
 
0歳~4歳も入院・入院外(通院)の医科診療医療費では意外と多いですが、歯科診療医療費では最もかかっていないです。
 
また、年齢階級の違いによる医療費の差は比較的小さいです。
 
2010年から2016年までの推移をみると、6年間で男性の歯科診療医療費は8.9%増えています。
 
年齢階級別にみると増えている階級もあれば減っている階級もあります。
 
増加率が最も高いのは、85歳以上の75.2%で高齢化社会の影響からか急激に増えています。
 
80歳~84歳も増加率は42.7%と高く、10歳~14歳も18.6%増えています。
 
一方で減少しているのは、60歳~64歳の19.3%減、35歳~39歳の10.8減等となっています。

女性の歯科診療医療費は6年で10.6%増

続いて女性の入院外医科診療医療費も年齢階級別にみていきます。男性とはかなり違いがあります。
 

 
女性2016年の結果を確認すると、全年齢の歯科診療医療費は1兆5490億円で男性より2406億円多く、前年比で168億円、2010年と比べると1490億円増えています。
 
年齢階級別にみると最も多いのは男性と同じく65歳~69歳の1667億円で、6年前は60歳~64歳の方が多かったですが、2013年に逆転しています。
 
次に多いのが70歳~74歳の1432億円で、その次が75歳~79歳の1285億円となっています。
 
歯科診療医療費が最も少ないのは0歳~4歳の213億円で、次に少ないのが15歳~19歳の326億円、その次が10歳~14歳の346億円となっています。
 
歯科診療医療費は30歳代あたりまでが少なく、40歳代以降で多くなっていますが、入院・入院外(通院)の医科診療医療費ほどの差はありません。
 
歯科診療医療費の結果をみると、高齢化の影響で85歳以上の医療費が急激に増えてはいますが、人口の多い第一次ベビーブーム世代が含まれる年齢階級で医療費が膨らんでいることも考えられます。
 
人口が今後も減少していけば、歯科診療医療費はそのうち減少に転じるはずです。
 
性別や年齢階級別の医療費だけでなく、人口1人あたりの医療費も確認できると、より医療費の傾向が理解できそうです。
 
一人一人が国民医療費の動向を全て気にする必要はありませんが、自分自身の将来への備えとして、何か役に立つことはあるはずです。
 
時々厚生労働省のホームページをのぞいてみては如何でしょうか。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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