更新日: 2019.01.11 その他暮らし

「定年後は農業に関わって自然の中に居場所を作りたい」都会に住みながら農業に親しめるクラインガルテンとは

執筆者 : 藤木俊明

「定年後は農業に関わって自然の中に居場所を作りたい」都会に住みながら農業に親しめるクラインガルテンとは
「農業をやってみたい」と思う人も多いでしょう。家庭菜園ではなく、都市農園などで区画を借り、収穫した野菜を食べれば楽しいですよね。さらに、「定年になったら地方に移住して農業をやりたい」という人は少なくないようです。人混みの中で生活するより、自然の中で作物を育てながら生活する。とても夢がありますね。
 
しかし、移住に夢を持つ人の足を引っ張るわけではありませんが、移住して生活がうまくいかなかったり、周りの環境になじめなかったりするのは不安です。そこで、近ごろ注目されているのは「多拠点居住」とか「2拠点居住」など、生活のベースを複数作る方法です。都市にある家はそのままに、もうひとつ、別の生活拠点を作って農業にいそしみたい。そんな方法は?
 
藤木俊明

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

滞在型の市民農園を借りる

都会に住みながら、クルマで行けるような場所にいつでも泊まれる拠点を持って、農業に親しむ方法があります。クラインガルテンというものです。
 
クラインガルテンは、もともとドイツで始まったもので、ドイツ語で「小さな庭」という意味。都市近郊にある農園と宿泊施設が一対となった区画を、都市に住む人が賃貸で使えるもの。
 
日本でも1990年代から整備が始まり、今では各地にクラインガルテンの施設ができています。もちろん首都圏近郊にもあります。「宿泊施設付滞在型市民農園」とでも言えばいいでしょうか。都市居住者なら、少し離れたクラインガルテンでの2拠点居住を考えてはどうでしょうか?
 
たとえば、茨城県八千代町にある「クラインガルテン八千代」(※1)です。
 
ここは、1区画に270平方メートルの農地と29平方メートルのラウベと呼ばれる2階建ての小屋があり、キッチンやリビング、トイレにお風呂、寝室が完備しています。ある種の別荘ですね。隣には「八千代グリーンビレッジ」という農村公園があり、キャンプ場やバーベキューも楽しめ、そこには温泉施設もあるようです。
 

農業初心者にはサポートも

クラインガルテン八千代の利用者は、簡単な農産物の栽培指導、加工技術、農村の歴史・文化などの助言を通して、地元住民とつきあいを深めることができるとあります。定年後、農業初心者にとってはありがたいことですね。
 
肝心の利用料ですが、年間40万円(税別:光熱水道費別4月から翌年3月で5年間まで延長可能)ということです。月々3万円強というところでしょうか。それが高いか安いかは人によるでしょうが、都心からクルマで1時間30分~2時間程度で行ける場所にこんな施設があるのですね。
 
他の地域のクラインガルテンを見てみます。たとえば、「坊主山クラインガルテン」(長野県松本市)(※2)では、ラウベ付き農園使用料が年間20万5710円~36万円(1年目)10万2850円~25万7140円(2年目以降)(税込)となっており、最長4年まで更新できるようです。
 
こちらでも有機栽培の個別指導や農園管理のフォローなどを受けられるとのことです。また「体験」として1区画1泊5140円(素泊まり)で試泊できるそうです。寝具代は別途(1組1300円)かかり、ゴミは持ち帰る必要があります。
 
こうしてクラインガルテンの施設を調べていると、定年後と言わずに、この週末にでも子どもを連れて、農業体験に行きたくなるかもしれませんね。
 
※1 茨城県八千代町ホームページ
※2 松本市ホームページ
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家