更新日: 2024.06.21 その他暮らし
自家製酒はなぜ違法なのですか? 個人で楽しむ分なら問題ないように思うのですが。
そこで本記事では、自家製酒に関する法律や自家製酒の歴史について解説します。ルールを知って、おいしいお酒造りをご家庭で楽しんでください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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酒税法とは?
酒税法は、酒税の賦課徴収や酒類の製造・販売免許などを定めた法律のことです。国内で販売されているお酒には、酒税法にのっとり税金がかかっています。酒税法に反して許可なくお酒を製造・販売したり、自分が飲むお酒を自由に造れたりしてしまうと、国の酒税収入に支障を来す恐れがあります。
この法律における酒類の定義は、酒税法上、アルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることのできるものまたは溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます)です。これらを製造するには、酒類製造免許が必要になります。
もし酒税法に反した場合には、10年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられ、製造した酒類、原料、器具などは没収されるため注意しましょう。
自家製の梅酒も違法!?
自宅でお酒を造るのが違法であるなら、多くの家庭が造っている梅酒も違法になってしまうのでしょうか。
梅酒は梅などを焼酎に加えて製造します。この焼酎がすでに課税されているものであり、自分で楽しむ目的であれば例外的に酒税法違反にはなりません。
しかしアルコール度数が20度以下のお酒で造ると発酵の原因である酵母菌が活動し始めるため、新たなお酒を造ることに該当し、違法となります。また次のものを混ぜて自家製酒を造るのも酒税法により違法となるため注意しましょう。
1.米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
2.ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3.アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
自家製酒の歴史について
酒造りの歴史は紀元前2000年ころまでさかのぼります。数あるお酒のなかで最も歴史が長いとされているのが果実酒です。なお、次に歴史の長いお酒はメソポタミア地方で紀元前3000年ころから造られていたビールだといわれています。
自家製酒で多くの家庭で親しまれている梅酒については、いつごろから造られるようになったのか明確な記録は残っていません。しかし江戸時代の文献に梅酒の製造とみられる記録が残っていることから、梅酒の歴史は江戸時代にはすでに始まっていたと考えられます。
江戸時代には製酒が行われていた梅酒ですが、家庭でのお酒造りが法律で認められるようになったのは、1962年の酒税法改正以降です。
自家製酒を楽しむうえで注意すること
先にも解説したように、法律で違反とされているお酒造りは行えません。例えば、ぶどうは使えないため、ぶどう酒は造れません。また梅酒をはじめとする果実を漬け込む果実酒も、使用するお酒は20度以上のものを使用します。
法律以外にもご自宅でお酒造りをする際に気をつけることがあります。お酒を漬ける瓶はカビの発生を防ぐため、一度アルコールや熱湯で消毒してから使用しましょう。また果実を漬ける場合は、果汁でアルコール度数が下がるため、雑菌の繁殖を防いで安全に楽しむには、アルコール度数35度以上のお酒を使うのもおすすめです。
夏に向けておすすめの自家製酒
最後に梅酒以外にもこの夏におすすめの自家製酒をご紹介します。
・あんず酒
夏に旬を迎えるあんずを漬け込むと、甘酸っぱくフルーティに仕上がります。漬け込みから3カ月ほどで出来上がるため、秋に楽しめるでしょう。
・さくらんぼ酒
初夏が旬のさくらんぼは、ほんのり赤みのあるお酒に仕上がります。漬け込みから2カ月ほどで出来上がります。
・ゴーヤ酒
少し変わった味わいにチャレンジしたい方におすすめです。漬け込みから1カ月ほどで仕上がり、ゴーヤの苦味や香りですっきりした味に仕上がります。
その他にもさまざまな果実でオリジナルのお酒が楽しめます。ルールを守って、安全においしいお酒をご家庭で楽しみましょう。
出典
酒税法
国税庁 【自家醸造】
国税庁 【自家醸造】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー