更新日: 2024.06.21 その他暮らし
自治会費を支払わない住民に支払いをお願いすることはできますか? 会費が十分に集まらず困っています…。
自治会側が加入を強制したり、住民側が自治会費を支払わなかったりと、地域によってさまざまな問題が発生しています。本記事では、自治会への加入や会費の支払いを強制することは可能か否かについて、裁判事例とあわせて紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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自治会の会費を負担に感じ加入しない人もいる
自治会に入ると会費の支払いが発生します。地域によっては会費が不要となるケースもありますが、多くの場合で会費を設定し、地域を管理しています。会費の金額は地域によって異なり、年間数千円ほどとしている自治体が多いようですが、毎年かかる費用であるため金銭的な負担を感じている人もいるでしょう。
自治会の会費は、ゴミ捨て場の管理や回覧板の作成などにかかる費用を賄うために利用されていますが、マンションなどの集合住宅に住んでいる場合、共用部にゴミ捨て場が設置されているケースも多く、自治会に入らなくても困らないとして加入しない人もいます。
自治会への加入は法律上義務ではない
自治会への加入は、法律で義務付けられているものではありません。自治会自体が各地域の住民で構成されている任意の団体を指しており、法律上での成立要件が定められていないため、権利能力のない団体とみなされます。
そのため、自治会へ加入するかどうかは本人の自由であり、自治会加入者や管理者が強制できるものではありません。
例えば、賃貸契約時に契約書で自治会への加入を条件付けている場合には、一度加入する必要がありますが、脱退するかどうかは本人の自由です。
そのため、すぐに脱退して会費の支払いを行わなくてもルール上問題ないといえるでしょう。自治会は任意団体であるため、賃貸管理会社側から入居者に再加入を強制する権利もありません。
したがって、賃貸借契約上では加入を必須としても、契約期間中に加入し続ける必要はないといえるでしょう。
自治会への加入を強制してはいけないと認められた裁判事例
自治会への加入を強制できないことは、裁判でも認められているケースがあります。
例えば、平成17年に最高裁により自治会を自由に退会してもよいと認められた裁判事例があります。埼玉県営住宅の自治会と住民のあいだで発生したトラブルで、自治会側が裁判所に訴えを起こした事例です。
住民は、当初自治会費を支払っていましたが、役員に対する不満から支払いをしなくなり、最終的に退会を申し出ました。しかし、自治体側が退会を認めず、未納分の自治会費を支払うよう裁判を起こしたものです。
結果として、最高裁は退会を伝える前の自治会費は支払う必要があるが、住民側からの一方的な申し出でも退会は認められるとしました。
平成26年判決の別の事例では、自治会への加入を何度も迫られた住民側が訴えを起こし、福岡高裁が自治会側に慰謝料の支払いを命じています。
この事例では、自治会に加入しない住民に対して「居住する資格がない」といった内容の文書を渡し、何度も執拗な勧誘を行っていたそうです。住民側は、自治会加入を強制され続けたことで精神的苦痛を与えられたとして訴えを起こし、裁判の結果、不法行為責任が認められ5万円の慰謝料が支払われました。
自治会へ勧誘する行為自体が問題になるわけではありません。ただし、あくまで任意団体であり加入を強制できるものではないことを念頭に、勧誘を行う必要があるでしょう。
自治会費の支払いは強制できない
自治会は任意団体であるため、加入の強制はできません。住民が自治会に加入していないのであれば、自治会費の支払いを強制することもできないでしょう。
自治会と住民との裁判事例によれば、住民に対し自治会を退会する前の会費は支払うよう命じているケースもあるため、加入時点からの未納分があれば、支払ってもらえる可能性があります。
自治会へ加入しているにもかかわらず支払いが行われていない場合には、トラブルを避けるためにもまずは弁護士に相談することを検討しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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