更新日: 2024.06.24 子育て
学校の「給食費」を払わないと「児童手当」から徴収される!? 未納だと子どもは給食を食べられないの? 給食費について解説
「1食300円もかからずに栄養バランスがとれたものを食べさせてくれる」というポジティブな声がある一方で、「義務教育なのに給食費を負担しなければならないのはおかしい」と考える人もいるようです。
給食費に関しては、払うだけの経済力があるにもかかわらず滞納する保護者がいることが問題になってきました。
給食費の未払いを理由に給食を食べさせない、という対応は教育基本法が禁じる「教育上の差別」にあたるとも指摘され、現実的には難しいため、給食費を払わなくても給食を食べる人がいることに、正しく給食費を払っている人が不公平を感じてしまうこともあるでしょう。
給食費未納への対応はどうなっているのでしょうか?
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
各自治体の給食費滞納者への対応は? 法的措置を行う自治体も!
給食費滞納者への対応は各自治体によって違いますが、多くの自治体が確実に納入してもらえるような取り組みを行っています。
例えば、千葉県成田市では督促状や催告書などによる文書での通知ののち、電話や自宅訪問等による催告を行います。それでも滞納を続ける家庭には法的措置も行っており、高額滞納者に対しては市税などの回収を行う専門部署に徴収業務を移管するようです。
千葉市のように、学校給食費の未収金の徴収業務を弁護士法人へ委託する自治体もあります。
給食費を支払っている家庭とそうでない家庭の間で不平等が生じないように、各自治体が本気で給食費の未納問題に取り組んでいるのです。
したがって、「給食費を滞納しても子どもは給食を食べられる」かもしれませんが、給食費の支払いから逃れて利益を得る、ということは難しいといえます。
児童手当からの徴収もできるが強制ではない
給食費を児童手当から徴収することもできますが、滞納者の児童手当から強制的に差し引くという性質のものではありません。
児童手当から直接徴収する方法には、特別徴収と申出徴収の2つがあります。特別徴収とは自治体の判断で児童手当から滞納金を差し引く徴収方法ですが、現年度分の保育料にしか認められていません。
一方の申出徴収は児童手当を受け取る保護者からの申し出があった場合のみ、滞納金を児童手当から差し引いて調整する仕組みです。学校給食費は申出徴収のみが認められているため、申出書を提出していない家庭から児童手当を差し引くことはできないのです。
給食費を援助する仕組みがある
経済的事情などで給食費を支払えない家庭には、自治体の就学援助制度を使った給食費の援助が行われています。就学援助制度とは、収入が少ない家庭や急な失業で家計が苦しい家庭などを支援する制度です。
千葉市では、就学援助制度の対象となった家庭の給食費は、教育委員会が実費を負担します。
総合すると、給食費が払える家庭からはしっかり徴収した上で、生活が苦しい家庭の子どもも安心して学校給食を食べられる仕組みができているのです。
給食費を無償化する動きも拡大中
給食費を無料にする自治体も少しずつ増えてきています。給食費を無料にすることで、児童・生徒が平等に食べられることに加えて、給食費未納徴収に関する自治体職員の負担が減ったというメリットもあるようです。
また全児童・生徒が難しくても、第3子以降は給食費を無償化する自治体もあります。自治体の財政的な負担は決して小さくありませんが、こういった取り組みが全国に広がり、学校に通うすべての子どもが平等においしい給食を食べて、健やかに育つ社会になることを願うばかりです。
出典
千葉県教育委員会 令和5年度学校給食実施状況等調査 第3表 学校給食費状況
千葉市 就学援助制度
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士