更新日: 2024.06.26 その他暮らし

25歳、「月収14万円」の派遣社員です。「生活保護」を申請できるでしょうか? 生活保護の要件を教えてください。

25歳、「月収14万円」の派遣社員です。「生活保護」を申請できるでしょうか? 生活保護の要件を教えてください。
生活保護とは、経済的に困窮状態にある人に対して一定金額を支援する救済制度です。基本的に収入が極端に不足している方やけがや病気で働けない方のための仕組みですが、受給する権利自体は国民すべてが所有しています。
 
しかし、生活保護を受けるには一定の要件をクリアしなければなりません。今回は、生活保護の受給要件について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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生活保護を受けるには条件がある

生活保護とは、なんらかの理由で金銭的に生活の維持が難しいときに、経済的支援を行う制度です。基本的に日本に在住している国民すべてに受給する権利があります。ただし受給には条件があり、要件を満たさなければ原則として受給が認められません。
 
例えば今回のケースは月収14万円とのことですが、生活保護を受けるにあたって「収入が最低生活費の基準を下回ること」という条件が存在します。この最低生活費の基準は個人の抱える経済事情や地域によって異なり、一般的には13万円前後が目安といわれます。
 
そのため、今回のケースでは生活保護を受けられない可能性が高いでしょう。
 

生活保護の要件

生活保護を受給できる要件に含まれるのは、収入だけではありません。受給の認可をもらうには、おおまかに以下の要件を満たしている必要があります。


・生活費に充てられるような預貯金や一定以上の価値を持つ資産がない
・働ける状況にあり、ハローワークにて求職活動を続けている
・働いている状態だが、収入が最低生活費を下回る
・けがや病気で働けない
・身内の援助を受けられない
・ほかに利用できる支援制度が存在しない

持ち家がある場合には、基本的に売却しなければなりません。ただし、持ち家が非常に古いなどの場合には、売却せずに済む可能性もあります。
 
なお、持ち家であっても住宅ローンが残っている場合には、生活保護は受けられません。カードローンや自動車ローンが残っている場合も同様です。
 

地域と世帯人数によって受給額が異なる

生活保護の支給額は、地域や世帯人数によって異なります。厚生労働の資料を元に、表1にまとめました。
 
表1

東京都区部内 地方群部
世帯人数3人(33歳・29歳・4歳) 16万4860円 14万5870円
世帯人数1人(68歳) 7万7980円 6万8450円
世帯人数2人(68歳・65歳) 12万2460円 10万8720円

※厚生労働省「「生活保護制度」に関するQ&A」を基に筆者が作成
 
生活保護の受給額は収入の有無によって異なりますが、原則として最低生活費の基準と収入の差額を埋め合わせられる分しか支給されません。そのため、生活保護で収入を伸ばすことはできないのです。
 

20代から申請すべき?

公益財団法人日本財団が実施した調査によると、生活保護の受給要件を満たしている世帯のうち、およそ8割が制度を利用していないそうです。
 
生活保護は年齢に関係なく利用できる権利であり、若年層の求職活動や生活を支援してくれる制度でもあります。生活が困窮していて求職活動や身体に悪影響があるなら、利用すべきでしょう。
 
一方で、生活保護を受けるには所持している財産のほとんどを処分する必要があります。高額な嗜好品や資産は保有できないため、生活保護は最終手段ともいえるでしょう。
 

「働きたくない」で生活保護を受けるのは難しい

インターネット上では「働きたくないから生活保護を受ける」との声も散見されますが、受給要件を考慮すると、そのような使い方は難しいでしょう。
 
生活保護は働く意思があってもけがや病気で働けなくなった・収入が極端に少ないといった方を支援する制度でもあるため、受給要件をクリアするには求職活動を続ける必要があります。
 

生活保護はあくまで最終手段

生活保護を受けるには、月収だけでなく現時点の財産や援助の有無など、ほかの条件もクリアしなければなりません。受給要件を踏まえると、生活保護を受けられるようにごまかすことは困難であると考えられます。
 
とはいえ、生活保護は年齢に関係なく利用できる国民の権利です。もし、現在生活が困窮していて求職活動や身体に悪影響があるなら、生活保護を受けることも検討しましょう。
 

出典

厚生労働省「生活保護制度」に関するQ&A
公益財団法人日本財団 8割が利用できていない、不正受給率はごくわずか。生活保護について正しい理解を
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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