更新日: 2024.07.14 子育て
有名私立小学校に通う孫のため学費援助。娘の言い値を渡していますが少し負担になってきました。私立小学校ってそんなに学費が高いのですか?
しかし、だんだんとその出費が負担になってきたのですが、自分から援助を言い出した手前、なかなか減額の相談をしづらいとのこと。まずは私立小学校の学費を知って、娘さんと話し合いたいとのご相談です。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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私立小学校の年間学費は約167万円、6年間で約1000万円
文部科学省が実施した調査によると、私立小学校の年間の学費はおよそ167万円、その内訳は「学校教育費」が約96万円、「学校外活動費」で約66万円、「学校給食費」で約5万円となっています。小学校は6年間ですから合計約1000万円かかることになります。月額にするとおおむね14万円という計算です。
これに対して公立小学校は年間約35万円(学校教育費:約6万5000円、学校給食費:約4万円、学校外活動費約25万円)ですから、私立は4.8倍の費用がかかります。
学校外活動費の延長となる付き合いも負担
それ以外に大きな負担になるのが、友だち同士の誕生会や歓送迎会などの「交際費」でしょう。
教育費がかかるということを認識したうえで私立小学校に通わせるという家庭が集まる環境で、友だち同士の付き合いなどがあれば、参加しなくてはならない状況になるかもしれません。それなりの準備をしていくことになれば、目に見えない負担になります。
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就学補助金は対象外
もともと高額な教育費がかかることを認識したうえで、あえて私立小学校を選択したことを考えれば、就学補助金や授業料免除などの制度については、学校教育法の第19条における「『経済的理由により就学困難』と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市町村は、必要な援助を与えなければならない」にそぐわないことになります。
したがって小学校については、こういった補助金等の対象外です。「私立小中学校等就学支援実証事業費補助金」制度も2021年度で終了し、補助金制度も現在はなく、新たな制度が開始されるという予定も見えていません。
「子どもに合った環境での教育」にはしっかりしたプランが必要
教育には、時間がかかります。小学校を私立に選択した背景には、「子どもに合った環境」ということを考慮してのことだと考えられますが、私立小学校に通わせた場合は、人間関係や教育環境の継続を重視して、中高等学校でも私立を選択するケースが多いでしょう。
中高等学校の教育費については、教育費無償化や補助金の対象になっていても、塾や習い事などの学校外活動費、公立学校に比べて高額になりがちな修学旅行費やイベント参加などの負担は継続することが予想されます。
また教育費を負担するのは保護者ですから、経済的な状況が変化したからという理由で、多感な10代の子どもに公立への進路変更を提案するのは難しいケースもあることを想定しておくべきでしょう。
小学校入学の時点で学費援助を申し出たのであれば、今後の教育方針などを確認したうえで、長い就学期間の援助を覚悟する必要があるかもしれません。
出典
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査 調査結果の概要
デジタル庁 e-Gov 法令検索 学校教育法
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者