更新日: 2024.07.17 子育て

わが家は生活保護世帯です。中学生の息子の志望校が私立高校なのですが、やはり諦めるべきですか? 生活保護世帯の高校生が活用できる制度はありますか?

わが家は生活保護世帯です。中学生の息子の志望校が私立高校なのですが、やはり諦めるべきですか? 生活保護世帯の高校生が活用できる制度はありますか?
一般世帯の高等学校への進学率は、令和2年度には98.8%にのぼっています。生活保護世帯の子どもも高等学校へ進学できるように、さまざまな支援制度が用意されています。本記事で、主なものを紹介します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高等学校等就学費

義務教育である小学校・中学校については、生活保護制度から「教育扶助」が支給されますが、高等学校は対象になっていません。
 
一方、高等学校等への通信制を含めた一般世帯の進学率は、令和2年度には98.8%にのぼっており、高等学校へ進学することが自立のために有用であると考えられているとの判断で、「生業扶助」の「技能習得費」の一貫として「高等学校等就学費」が支給されています。
 
ただし、支給額は公立高校相当部分に限られています。私立高等学校に進学する場合、授業料が不足します。
 
また、修学旅行費、公立高校の相当額を超える私立高校就学費用、学習塾等費用、大学等の入学金・受験料・転居費用等、生活保護費から支給できない費用もあります。
 
令和3年度の学習費総額(学校教育費*と学校外活動費の合計)をみると、高等学校(全日制)の学習費総額は公立約51万3000円(うち学校教育費約31万円)、私立約105万4000円(うち学校教育費約75万円)となっており、お金のかかる私立高等学校に進学する場合は、国や自治体の支援策、アルバイトを活用する必要があります。
※学校教育費とは、授業料、修学旅行費、学校納付金、図書・学用品・実習材料費、教科外活動費、通学関係費 等です。
 
図表1

図表1

 

私立高校に対する授業料の支援

私立高等学校に通う生徒には、就学支援金制度(国)により最大39万6000円(年額)助成されます(所得制限あり)。支援金の助成方法は、授業料と相殺する形で行われます。さらに、保護者の負担を軽減するため、自治体独自の授業料軽減する制度もあります。
 
例えば、東京都の場合、所得にかかわらず、国の就学支援金と東京都の「授業料軽減助成金」(現金給付)を合わせて48万4000円まで助成しています。
 

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私立高校に対する授業料以外の支援

授業料以外にも、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費、通信費等の学校教育費がかかります。これらに充当する「奨学のための給付金」があります。私立高校に通う生活保護世帯には年額5万2600円(現金給付)が助成されます。
 

公的支援の不足分はアルバイトで

修学旅行費、公立高校の相当額を超える私立高校就学費用、学習塾等費用、大学等の入学金・受験料・転居費用等については、生活保護費から支給できません。
 
国の就学支援金、自治体の授業料を軽減する制度、奨学のための給付金でも賄いきれないこれらの費用についてはアルバイト収入で賄うことが考えられますが、原則、アルバイト収入のうち、基礎控除等控除後の収入として認定された金額(収入認定額)が生活保護費から引かれます。
 
しかし、アルバイトで得た収入を、私立高校における授業料の不足分、学習塾の費用、大学等の受験料や入学金等にあてる場合は収入として認定されませんので、その分の生活保護費は減額されない取り扱いとなっています。
 
ただし、高校生がアルバイトをするときは、ケースワーカーに必ず申告する必要があります。故意に申告しないと、アルバイト代に相当する保護費を返さなければいけなくなります。
 

まとめ

生活保護世帯出身の生徒も私立高校に通うことが可能です。さらに、高校卒業後、大学等に進学することも可能です。大学等に進学するにはどのような支援策があるのか、早い段階から情報収集しましょう。
 

出典

文部科学省 高等学校教育の現状について 令和3年3月
文部科学省 令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値を公表します。 令和5年12月20日
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査
公益財団法人 東京都私学財団 私立高等学校等就学支援金事業
公益財団法人 東京都私学財団 私立高等学校等奨学給付金事業
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会(第27回) 令和5年11 月27日 子どもの貧困への対応について
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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