更新日: 2019.05.17 その他暮らし
手術後に気付いても手遅れ!給付金が下りない保険トラブル(手術給付金編)
そうなった場合、せっかく入った保険が無駄になってしまうこともちらほら…。加入すると長いお付き合いとなる「保険」ですので、きちんと内容を確認しておくことが必要となります。
今回は、医療保険の手術給付金にスポットを当てて、注意すべきポイントを押さえていきます。しっかりと確認し、保険と良いお付き合いをしていきましょう。
Text:藤山優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、第一種証券外務員
防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊するが、体調悪化のため退職。
退職後、自身のお金に関する知識がないことに危機感を持ちFPの勉強を始める。
現在は保険の見直し業務や転職支援などを通して、ライフプランのトータルサポートを行っている。
https://www.kura-so.com/
手術給付金が下りない理由は?
医療保険に加入されている方は、「手術給付金」が自動的に付いている場合が大半なのではないでしょうか?
「手術給付金」とは、その名のとおり「手術」をしたら給付されるお金のことです。しかし、手術をしたら必ずしも保険金が下りるわけではありません。どの手術だったら手術給付金がもらえるのかを、しっかりと把握しておくことがトラブル防止の第一歩です。
それでは、手術給付金で保険金が下りないのは、どのような場合なのでしょうか?主に2つの理由があります。(※1)
(1)治療目的ではない手術の場合
例えば、美容整形手術などは、病気の治療を目的とした手術ではありません。そのような場合、手術をしても給付金は支給されません。手術給付金はあくまでも「治療目的」の手術であることが大前提となります。
(2)「この手術では給付金を支払わない」と保険の規定(約款)にある場合
保険の規定(「約款(やっかん)」と呼ばれます)には、「この手術は、手術給付金から除外します」とあらかじめ決められているものがあります。
代表的なものとしては、「抜歯」「傷の処置」「魚の目、タコの切開」です。
また、保険会社によっては、「公的医療保険制度」に基づく手術(いわゆる保険証で3割負担になるもの)は給付せず、「約款に定めた88種の手術」のみ給付するというものもあります。手術とされる範囲がそれぞれ違うのです。
このように、約款は各保険会社によっても異なる場合がありますので、今一度ご確認いただくか、保険会社に問い合わせることをおすすめいたします。
「手術給付金は、すべての手術で給付が下りる」というセールストークを聞かれたれた方もいらっしゃるかと思いますが、実際にはこのような「例外」が各保険会社に存在します。
「例外」であることを知らなかったということでトラブルがないように、まずはこの点について確認しておきましょう。
手術給付金が聞いていた額よりも少ない! なぜ?
次は、手術給付金が下りた場合、その額が思っていた額や担当から聞いていた額よりも少ないという事例についてです。手術給付金には、2種類の給付金の規定があります。
(1)給付対象の手術は、どれでも一律
最近はこのようなパターンが多くなってきました。どの手術でも給付対象であれば、一律の額で給付金を受け取ることができます。入院日額1万円の保険であれば20万円がスタンダードな額になるかと思います。
しかし、この場合でも、入院を伴わない日帰りの手術は、入院を伴う手術よりも給付金額が少なくなることが多いので、パンフレットや設計書などをご確認ください。
(2)手術の種類によって給付額が異なる
手術の種類によって、給付金の額が異なるパターンです。「入院日額の40倍、20倍、10倍」となっていることが多いのではないでしょうか?
この場合は、手術一つ一つに細かく手術給付金の額が決められています。40倍の給付が下りるのは「開腹、開胸手術」といったいわゆる「重大手術」となります。
特に詳しく約款などを見なければ、どの手術でどのくらいの給付金をもらえるかが分かりませんので、「40倍、もしくは20倍もらえると思っていたのに…」という思い違いが発生しやすくなります。
このように、手術給付金といってもすべて同じではありません。契約してから「思っていたものと違った」ということがないように、給付金がもらえる手術の範囲はどこまでなのか、いくら給付されるのかということには特に気を付けましょう。
出典
※1 「手術したのに手術給付金が受け取れないのはなぜ? 」生命保険文化センター
Text:藤山 優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP