更新日: 2024.08.02 その他暮らし
入院したら食事代が1食「490円」でした。1ヶ月で「4万4000円」かかると思うと高く感じるのですが、どの病院も同じなのでしょうか? 安くはなりませんか?
医療費に加えて食事代がそれだけかかるとなると、出費が大きくなりますよね。「どの病院でも食事代は変わらないのか?」「もっと安くならないのか?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。本記事では入院中の食事代について解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
病院で提供される食事について
病気やけがで入院した際に病院から提供される食事は、入院患者の健康管理を目的として医師の指示のもと管理栄養士が監修しています。
食事制限がない人には一般食、糖尿病や高血圧などの病状のある人には特別食など、患者の症状や身体状況に合わせて食事が提供されます。
この食事の費用は、健康保険と患者が支払うお金で賄われます。入院中の食事代は、厚生労働大臣が決めた基準に基づいて計算され、患者が支払うのは「標準負担額」と呼ばれるものだけとなります。
標準負担額は年々上がってきており、2024年6月から1食あたりの標準負担額は490円となりました。1ヶ月入院したとすると、食事の自己負担額は490円×3食×30日=4万4100円かかる計算になります。
家庭の食費との比較
一般的な食費と比較してみましょう。総務省統計局家計調査(2023年)によると、単身世帯の1ヶ月の平均的な食費は次のとおりです。
男性:4万6879円
女性:3万7777円
単身世帯平均:4万2049円
病院での1ヶ月の食事代が4万4000円とすると、ほとんど変わらないことが分かります。病院の食事は栄養バランスがしっかりと考慮されており、調理法や衛生管理が徹底されています。人件費や水道光熱費などを加味すると、むしろ良心的な価格といえるのではないでしょうか。
病院食は病院が定めた時間に、決められたメニューが提供されます。そのため「好きなタイミングで食事ができない」「苦手な食べ物が出る」「量が足りない」などの理由で、割高に感じる人が多いのかもしれません。
食事代は安くなるの?
標準負担額は厚生労働大臣が定めることになっているため、安くすることはできません。ただし以下のような条件に該当すると、負担額の軽減を受けられます。
・難病患者、小児慢性特定疾病患者
・住民税非課税世帯の人
条件に該当する場合、必要な書類を添えて健康保険組合に申請する必要があります。この申請が認められると「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されるので、医療機関の窓口に提出することで、食事代が軽減されます。
入院したら食事代は必ずかかる
病院の食事代は基本的に全国一律で設定されています。栄養バランスがしっかりと管理されている上、1食490円と一般的な食費と大きく変わりません。入院したからといって食事に関して大幅に出費が増えるということはないでしょう。
しかし、入院することで医療費分の出費は増えます。定期的に健診を受ける・食事や運動に気を配る・生活環境を整えるなど日々の健康管理に努め、入院に至るリスクを減らしましょう。
出典
全国健康保険協会 協会けんぽ 入院時食事療養費
厚生労働省 「健康保険及び国民健康保険の食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額及び後期高齢者医療の食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額の一部を改正する告示」の公布について(通知)
総務省統計局 家計調査 2023年 単身世帯・勤労者世帯
執筆者:山田麻耶
FP2級