更新日: 2019.01.11 その他暮らし

大企業ほど給与は勢いよく上がり、勢いよく下がるって本当?嘘?

大企業ほど給与は勢いよく上がり、勢いよく下がるって本当?嘘?
高校や大学を卒業してから65歳まで、40年以上も働く時代になりました。今後は70歳まで、いや75歳まで当たり前に働く時代が来るかもしれませんが、その間、経験年数に応じて給与は上がっていくのでしょうか?
 
年齢階級ごとの給与額から給与水準の変化を確認してみました。
 
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

大企業の給与は勢いよく上がり勢いよく下がる

厚生労働省厚生労働省平成29年賃金構造基本統計調査から、一般労働者の給与(賃金)を性別・企業規模別・年齢階級別に調べてグラフにしてみました。一つ目のグラフは男性の給与で、年齢は5歳刻みにしてあります。
 
※ここでは統計の所定内給与額のことを給与としています。所定内給与額とは、決まって支給される現金給与額(基本給・職務手当・家族手当等)のうち超過労働給与額(時間外勤務手当・深夜勤務手当・休日出勤手当等)を差し引いた額のことです。賞与は含みません。
 
※企業規模は大企業が常用労働者1,000人以上、中企業は100~999人、小企業は10~99人としています。
 

 
男性の給与を年齢階級別にみていくと、年齢が上がるにつれて給与額も上がっています。男性全体では、20~24歳では21万1千円の給与が35~39歳には32万4千円になり、50~54歳には42万4千円になります。
 
しかしここでピークを迎え、55~59歳は41万2千円へ少し下がり、60~64歳には29万4千円へ一気に10万円以上下がります。
 
企業規模別にみても同じ傾向にありますが、大企業はより顕著に表れています。20~24歳では22万円の給与が35~39歳には36万4千円になり、50~54歳には50万円になります。ここをピークに60~64歳には31万5千円へ大きく下がります。
 
大企業と小企業との差額を計算すると、20~24歳では1万7千円の差が35~39歳には7万1千円へ広がり、50~54歳には16万4千円もの差になります。
 
しかし、60~64歳には3万2千円まで差が縮まります。50歳代後半からこれだけ給与が急に減ってしまうと、収入を計画的に使っていかないと下がった時に痛い目に遭いそうです。
 

女性は男性に比べて年齢による給与の変化が小さい

次に女性一般労働者の給与(賃金)を企業規模別・年齢階級別にグラフにしてみました。
 

 
女性も男性と同じように年齢が上がるにつれて給与額も上がっています。女性全体では、20~24歳では24万6千円の給与が35~39歳には25万4千円になり、50~54歳には27万円になります。
 
ここでピークを迎え、55~59歳は26万3千円へ少し下がり、60~64歳には22万4千円へ下がります。しかし、男性と比べて上がり方も下がり方もかなり小さいです。男性は20~24歳から50~54歳へ21万4千円上がっていますが、女性は6万8千円しか上がっていません。
 
また、その後60~64歳までに男性は13万円下がっていますが、女性は4万6千円しか下がっていません。企業規模別にみると、大企業の給与が常に最も高いのは男性と同じですが、中企業と小企業では65~69歳で逆転しています。
 
女性の給与は、20歳代の頃は男性と大して変わりませんが、30歳代以降で大きな差が生まれます。働き方の違いがあったのでこれまでは当然なのでしょうが、今後は徐々に差がなくなっていくのではないでしょうか。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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