三つ子なら「大学無償化」「児童手当」は最大の恩恵を受けられる!? 子どもに“年の差”がある場合と比較

配信日: 2024.08.19

この記事は約 4 分で読めます。
三つ子なら「大学無償化」「児童手当」は最大の恩恵を受けられる!? 子どもに“年の差”がある場合と比較
多子世帯には「大学無償化」や「児童手当の多子加算」など、第3子以降が対象となる制度がいくつかあります。しかし、きょうだい間の年齢差によっては、上の子が制度の対象から抜けてしまうことがあり、多子世帯としての恩恵が最大で受けられないこともあるでしょう。
 
本記事では、第3子以降から支援が手厚くなる制度の概要や、三つ子なら最大で恩恵を受けられるのかどうかについて、三つ子と年齢差のあるきょうだいで比較しながら解説します。

多子世帯が恩恵を受けられる制度

多子世帯が恩恵を受けられる制度には、主に「大学無償化」と「児童手当」が挙げられます。
 
多子世帯の恩恵を受けるためには、どちらも対象となる子どもが3人以上いることが要件となっており、多子世帯が特に優遇されている制度です。それぞれの制度の概要を以下で確認してみましょう。
 

大学無償化

2025年から始まる大学無償化は、国公立または私立大学の入学金および授業料が一定額まで免除される制度です。4年制大学だけでなく、医学部のような6年制大学や短大なども対象で、免除される金額は図表1の通りです。
 
図表1

図表1

文部科学省 令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等無償化)に係るFAQより筆者作成
 
扶養している子どもが3人以上の多子世帯が対象で、現行の「高等教育の就学支援新制度」よりも世帯の収入や資産、学業などの条件が緩和されています。
 
図表2

図表2

文部科学省 令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等無償化)に係るFAQ
 
ただし、「子どもを3人以上扶養している」ことが条件で、図表2のように子ども3人のうち1人でも扶養から外れてしまうと無償化の対象とはならないため注意してください。
 

児童手当

第3子以降は3歳から小学生まで5000円多く給付される仕組みの児童手当ですが、2024年10月からは児童手当が拡充され、多子世帯の金額がさらに増える方針です。2024年10月から始まる児童手当の主な変更点は以下の通りです。

1. 所得制限の撤廃
2. 期間の延長(高校生の年代まで)
3. 多子加算の増額
4. 支払い月が隔月(2ヶ月に1回)に

2024年7月時点の児童手当(図表3)と拡充後の児童手当(図表4)の金額は図表の通りです。
 
図表3

図表3

子ども家庭庁 全国こども政策主管課長会議 児童手当についてより筆者作成
 
図表4

図表4

子ども家庭庁 全国こども政策主管課長会議 児童手当についてより筆者作成
 
また拡充後の児童手当では、学生に限らず上の子の22歳の年度末まで経済的負担がある場合、人数にカウントされます。
 

三つ子は最大の恩恵を受けられる?

多子世帯向けの支援や加算では、「対象となる子どもが3人以上」と定められることが多いため、3人同時に対象となる三つ子は恩恵が受けやすいと言えます。
 
試しに「三つ子」と「3歳差」のケースで、大学が無償化される年数と児童手当の金額がどのくらい変わるのかを考えてみましょう。
 

大学無償化

2025年から始まる大学無償化では、3人以上の子どもを扶養している世帯を対象に大学の費用が無償化されます。
 
3人同時に大学に進む三つ子の場合は、3人全員が6年制大学に行くと最大18年分(1人あたり6年×3人分)、4年制大学に行くと最大12年分(1人あたり4年×3人分)が無償化の対象です。
 
3歳差の場合は、6年制大学なら第1子の6年分と第2子の3年分で最大9年分、4年制大学なら第1子の4年分と第2子の1年分で最大5年分が無償化の対象となります。
 
三つ子の場合は子どもが3歳差の世帯と比べると、倍以上の年数分で無償化の恩恵を受けられるでしょう。
 

児童手当

2024年10月からは、第3子以降の金額が0歳から高校生の年代まで一律3万円となり、児童手当の対象外となった後も22歳の年度末までは人数としてカウントされます。
 
三つ子や2歳差の場合は、第3子が高校生の年代となるまで3人とも人数にカウントされるため、最大で総額1176万円をフルで受け取ることが可能です。
 
しかし、3歳差の場合は第3子が16歳到達後の年度末以降に上の子が人数カウントの対象外となってしまうため、2年間は3人目の手当が月1万円となります。
 
つまり、三つ子の場合は子どもが3歳差の世帯と比べて、児童手当を40万円以上多く受け取ることができるのです。
 

まとめ

多子世帯が優遇される制度には、2025年から始まる第3子以降が対象の「大学無償化」と、2024年10月から第3子以降の加算額が増える「児童手当」が挙げられます。
 
大学無償化は、多子世帯を対象に大学にかかる費用が免除される制度で、扶養人数が2人以下だと全員が無償化の対象外となるため、3人同時に対象となる三つ子は最大年数分で無償化がされるでしょう。
 
2024年10月からは児童手当の第3子以降の加算額が増える方針ですが、カウントされる上の子の年齢に制限があるため、同じ年齢の三つ子なら加算額がなくなる心配はありません。
 
大学無償化や児童手当のような多子世帯向けの支援は、年齢制限が設けられていることもあり、子どもの歳が近ければ近いほど恩恵が受けられるでしょう。
 

出典

文部科学省 令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等無償化)に係るFAQ
子ども家庭庁 全国こども政策主管課長会議 児童手当について
 
執筆者:梅井沙也香
FP2級

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集