子供に伝えるチャンス!お年玉というお金の教科書
配信日: 2018.12.28 更新日: 2019.01.30
実は、お年玉は、子どもたちにお金について学ばせる絶好のチャンスです。将来、自分でしっかりとお金の管理をしてもらうために、大人である私たちはどんなことをするべきなのでしょうか。
今回は、子どもに伝えたいお金の知識について解説します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
金融リテラシーとは?
私たちの毎日の生活とお金は、切っても切れない関係です。お金を「稼ぐ」「蓄える」「増やす」「使う」というサイクルを上手に回すために、お金の管理方法を学ぶことは非常に大切ですね。
一般的に、このお金の管理方法や知識のことを「金融リテラシー」と呼んでいます。結婚や子育て、そして老後の生活など、人生のさまざまなイベントにおいて経済的に苦労することがないように、私たちは金融リテラシーを身につけておく必要があるのです。
日本の金融リテラシーのレベルチェック
それでは、私たち日本人は、お金についてどの程度の知識があるでしょうか。
金融広報中央委員会が実施した調査(※)によると、金融リテラシーを問う正誤問題の正答率は55.6%となっています。正答率を分野別に見ると、「金融取引の基本」が72.9%と最も高く、「金融・経済の基礎」が48.8%と、最も低い結果となっています。
年齢別に見てみると、学生および若年社会人は正答率が低く、年齢が上がるとともに上昇する傾向にありました。
また、50代の老後への準備状況では、老後の生活費について必要額を認識していない人が約5割、資金計画がない人が6割、公的年金の受取金額を認識していない人は6割となっています。
さらに、外国と比較すると、日本の方が米国より正答率が10%低く、ドイツ・英国よりも7~9%低い結果となりました。
この調査を見ると、日本人の金融知識のレベルは、決して十分なものではないことが分かりますね。特に若い世代では、家計のやりくりや資産運用の方法などが分からないために、お金を上手に管理できていない人が多くいるようです。
家庭でできるお金の教育
近年、金融教育は中学や高校のカリキュラムでも取り入れられ、家計管理や資産運用、ローンやリボ払いの仕組みなどについて、授業が行われています。
もちろん、学校で学ぶことも大切ですが、ご家庭での実体験を通じて金融リテラシーを身につけていくことは、子どもたちにとって大変効果的です。
例えば、小学生の場合、「お小遣いやお年玉の範囲内で、自分の欲しい物を購入するためにはどうしたら良いのか」というマネープランを立てさせてみましょう。家計のやりくりについて学ぶことができますよ。
また、中学生や高校生の場合は、運用益や売却益が一定期間非課税となる「ジュニアNISA」を利用して、資産運用にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
投資のリスクや、分散投資・長期投資など、資産運用のポイントを理解することができますね。今まで、親自身が資産運用を行っていなかったご家庭でも、一緒にチャレンジすることで楽しく資産運用の知識を学ぶことができるでしょう。
将来、子どもたちがお金で苦労することがないように、しっかりと金融リテラシーを学ばせましょう。そのような環境を作ることは、非常に大切です。お正月には、お年玉をきっかけにして、お金の管理方法や知識についてご家族でじっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。
出典
金融広報中央委員会 金融リテラシー調査(2016年)
Text:下中英恵(したなか はなえ)
FPwoman Money Writer’s Bank 所属ライター