入院先が4人部屋なのに「差額ベッド代」が!? 個室じゃなくても“請求”されるケースとは? 知っておきたい注意点を解説
配信日: 2024.09.15
本記事では、差額ベッド代の概要や費用がかかる部屋の要件、個室でも差額ベッド代がかからない場合や金額の相場などを紹介します。
執筆者:梅井沙也香(うめい さやか)
FP2級
個室じゃなくても差額ベッド代はかかるの?
差額ベッド代は、個室だけでなく4人部屋のような少人数の病室でも費用がかかることがあります。差額ベッド代は正式には「特別療養環境室料」といいます。差額ベッド代がかかるのは、本人の希望により条件を満たした個室(特別療養環境室)に入院した場合です。
差額ベッド代がかかる部屋を選択した場合、公的医療保険や高額療養費制度の対象外となるため、全額が自己負担となります。特別療養環境室の基準となる条件は以下の通りです。
・特別の療養環境に係る病室であること
・1病室あたり4床以下であること
・病室の面積が1人あたり6.4平方メートル以上あること
・病床ごとにプライバシーが確保できる設備を用意されていること
・「個人用の私物収納設備」や「個人用の照明」、また「小机等や椅子」が用意されていること
ただし、特別療養環境室での入院でも、次のような場合は差額ベッド代はかかりません。
1.同意書による同意の確認がされていない場合
2.同意書に本人の署名がなかったり、室料の記載がなかったりと、書類に不備がある場合
3.治療上の必要により特別療養環境室に入院した場合
4.病院都合により部屋が決められ、患者本人の選択ではない場合
4人部屋でも差額ベッド代はかかる可能性があるため、入院の際は少人数の部屋でも注意しておきましょう。
差額ベッド代の相場
差額ベッド代は1~4人までの部屋に適用される費用で、相場は病床人数によって大きく異なります。厚生労働省によると、令和5年7月の差額ベッド代の平均金額は図表1の通りです。
図表1
病床人数 | 1日あたりの平均金額 |
---|---|
1人部屋 | 8437円 |
2人部屋 | 3137円 |
3人部屋 | 2808円 |
4人部屋 | 2724円 |
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第591回)主な選定療養に係る報告状況より作成
例えば、図表1の金額をもとに4人部屋で7日間の入院で考えた場合、「2724円×7日=1万9068円」と、1週間の入院でも2万円近くかかることが分かります。
入院の際は差額ベッド代のほかにもさまざまな費用がかかるため、必要以上に出費がかさまないよう、差額ベッド代についてもよく理解しておきましょう。
まとめ
差額ベッド代とは、本人の希望により1~4人部屋の特別療養環境室と呼ばれる部屋に入院した場合にかかる費用で、公的医療保険や高額療養費制度の対象外となるため、全額が自己負担となります。
特別療養環境室での入院にかかる差額ベッド代ですが、「本人の同意が得られていない場合」や「治療上で必要とされる入院の場合」には、特別療養環境室での入院でも差額ベッド代はかかりません。差額ベッド代の1日あたりの相場は、4人部屋だと約2700円で1人部屋では約8400円と、病床人数によって大きく異なります。
治療費や食事代などさまざまな費用がかかる入院ですが、少人数の部屋を希望する場合には差額ベッド代がかかることもあり、その場合は入院費用が高額となる可能性もあるため注意してください。
出典
厚生労働省 保医発0624第3号 「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第591回)資料 主な選定療養に係る報告状況
執筆者:梅井沙也香
FP2級