「救急車」には料金がかからない? 「選定療養費」に「救急車代」は含まれるのでしょうか?
配信日: 2024.10.01
救急車の利用が無料である理由、医療費との関係、選定療養費が発生するケースを説明し、適切な救急車の利用方法を提案します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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救急車の出動件数と費用
救急車による救急搬送は「無料」とされていますが、総務省による令和5年中の救急出動件数は763万7967件(対前年比40万8395件の増加、5.6%の増加)、搬送人員は663万9959人(対前年比42万2676人の増加、6.8%の増加)でした。
救急出動件数と搬送人員ともに集計開始以来最多です。また、軽症(外来診療)が321万4831人(48.4%)と半分近くを占めており、中等症(入院診療)が285万1385人(42.9%)、重症(長期入院)が47万8740人(7.2%)となっています。
前年と比較すると、構成比では軽症が27万4725人と9.3%増加している背景には、救急車の利用自体は無料なため、タクシー代わりに使う事例が報告されているようです。
茨城県では、緊急性が認められない救急車の利用時は選定療養費の運用の見直しを予定するなど、救急車のあり方について議論が始められるようになりました。
医療費と救急車利用の関係
日本では原則的に誰でも救急車を無料で利用できます。しかし、救急車1回の出動で4万5000円ほどかかると試算されています。救急車の利用料金は無料ですが、治療費や薬代は当然請求され、深夜や休日の場合には時間外医療費も請求されるなど、すべてが無料になるわけではありません。
また、救急車で搬送された病院が大きな病院で、通常、紹介状が必要な病院の場合、救急搬送でも選定療養費が徴収されるケースがあるため注意が必要です。
救急搬送で選定療養費が発生するケース
救急搬送で選定療養費が発生するのは「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」です。特定機能病院とは、高度医療の提供や高度な医療技術の開発や研修を実施する能力等を備えた病院のことをいいます。
また地域医療支援病院とは、「かかりつけ医」への支援を通じて地域医療の確保を図る病院、紹介受診重点医療機関とは、医療法に基づき紹介患者への外来を基本とする医療機関として都道府県が公表した病院です。
選定療養費は、対象病院への救急搬送後に緊急入院や緊急手術をするなど重篤な状態であれば発生しませんが、軽度な症状の場合は請求されるケースがあります。ただし、救急外来受診のための紹介状を持っていれば発生しないといわれています。
救急車の利用ポイント
「意識や呼吸がない」などの緊急時は、ためらわず即座に119番をして救急車を呼ぶ必要があります。
一方、救急車を呼ぶかどうか迷った場合には救急安心センター事業「#7119」へ電話するとよいでしょう。住んでいる都道府県の窓口へ自動転送され、医療相談チームが24時間年中無休(一部地域で異なる)で対応しています。
緊急性の高い場合には救急車の搬送要請へとつなげてくれるだけでなく、症状に基づく緊急性のアドバイスや受診の必要性、受診可能な医療機関の紹介が可能です。
子どもの場合、子ども医療電話相談事業「#8000」があります。救急安心センターと同様に自動転送され、小児科医師や看護師から子どもの緊急度の判断から症状への適切な処置や病院受診などのアドバイスを受けられます。
緊急性は低いものの自力で病院へ行くことが難しい場合には、民間救急の活用もおすすめです。応急処置以外の医療行為はできませんが、ストレッチャーなどの機材を搭載しているため、自力で歩けない状態でも病院まで搬送してもらえるようです。
利用料金は事業者によって異なりますが、公益社団法人東京防災救急協会がまとめる資料によると、初乗り30分まで(7.5キロメートル)3700円、以後30分または7.5キロメートル増すごとに3100円の加算(一例)といった料金で利用できるとしています。
救急車は無料でも選定療養費に注意しよう
緊急度が高い場合に救急車を利用し、そのまま入院・手術となれば選定療養費を支払う必要はありませんが、軽症にもかかわらず大きな病院へ搬送されてしまった場合には選定療養費が徴収されるケースがあるため注意しましょう。
出典
総務省「令和5年中の救急出動件数等(速報値)」の公表
茨城県 救急搬送における選定療養費の取扱いについて
公益社団法人東京防災救急協会 搬送料金の例(寝台自動車適用認可運賃の場合)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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