更新日: 2024.10.03 子育て
いま通っている幼稚園が合わず保育園に入りたいのですが、なかなか空きが出ません。仕事を再開したいけど「一時預かり」はやはり高いですよね?
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
行政が運営していれば1時間あたり500円~800円。認可外であれば、1時間あたり1000円~2500円
運営主体が行政かプライベートかで大きく違います。
自治体で提供している一時保育・一時預かりは、おおむね1時間あたり500円~800円程度でリーゾナブルです。また、きょうだいで利用する場合は割引が適用になるなどの措置もとられているケースが多いです。
「枠」が限られているうえに、「空き」がある場合にのみ利用できるので、実際には1ヶ月前から予約が必要で、利用は1ヶ月10回までという制限も設定されているケースが多く、緊急時に柔軟に対応してもらえるという可能性はかなり低いでしょう。
認可外保育施設などでは、料金設定は施設に委ねられています。目安は1時間あたり1000円~2500円と負担額は大きく上がります。ただし、プライベートで運営している施設では土日や24時間の受け入れも可能であったり、体操や英語などのプログラムを提供したりしているところもありますので、料金だけで判断するのは難しいでしょう。
行政主体の対象施設で、年収要件を満たせば最大3万7000円の無償化が適用
自治体のホームページで無償化対象施設かどうかを確認し、子どもの年齢や年収要件を満たせば、最大で3万7000円の無償化枠が適用になります。
仮に無償化枠の対象外であっても、自治体認可の保育園での一時保育の場合、チケット発行という形で負担のいくらかを助成してもらえる仕組みを利用できる場合もあります。
無償化については、認可保育園の中でも対象となる施設数は限られているうえ、年収要件を満たす必要があるので、必ず行政の窓口で確認しましょう。
価格を優先するか、柔軟性を優先するか
ざっと、公的施設と民間施設の利用料金を確認しましたが、当然、料金を重視すれば、柔軟な対応は期待しづらく、いつでも利用できる場合は柔軟性が料金に反映されるため大きな負担になります。
経済的負担か柔軟性のどちらを優先させるか、判断に悩むところではありますね。
「指導方針が合わないから保育園?」
その前に、Aさんのご相談として「指導方針が合わないから保育園」という主訴を確認しましょう。
保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省の管轄です。趣旨がまったく違います。もし「指導方針が合わないから」という理由であれば、今の幼稚園から別の幼稚園への転園を検討すればいいでしょう。
ただし、子どもにも人間関係が生まれつつある時期です。また、通園や行事など環境の変化に子どもがスムーズに対応できるかを見守っていかなければなりません。新しく人間関係をゼロから作っていくことも、子どもにとっては大きな負担となるでしょう。
転園先の幼稚園の指導方針が「親ではなく」子どもに合っているかどうかも見極めなければなりません。これらをふまえて「転園してよかった」と確認できるまでは、かなりの時間がかかると覚悟しておいたほうがよいでしょう。
一方、「指導方針が合わない」という理由で「今まで仕事の再開を先延ばしにしていたが、(まず)家計の基盤をしっかり固めよう」と保育園への転園を考える場合、幼稚園という「限られた時間の教育を主体とした施設」から「家庭での保育が十分に確保できないため、福祉施設である保育園」に転園となります。
大人であれば理解できますが、子どもにとって「長時間滞在する、幼稚園であればおうちで遊んでいた夏休みや冬休みといった長期休暇もなくなる」という事情をすんなり理解できるかは疑問です。そういった環境の変化については幼稚園の転園以上に見守っていく必要があります。
幼稚園から保育園に転園した結果、さまざまな環境の変化もあり、体調を崩すようになったということも想定しなければなりません。その場合には、おそらく事前予約などではなく緊急的な対応が必要になるプライベートの一時保育施設にお願いせざるを得なくなることも想定しておきましょう。
まとめ「子育てに大人の事情は通用しない」
家計運営には、プランニングが必要ですが、子育てに関していえば、「想定外のハプニングが起こるのが当たり前」という気持ちで臨むべきでしょう。
幼稚園にかかる費用、保育園ならばこのくらい、と金額のめどを立てますが、それ以外に病気やケガでの家庭保育、病後保育などがかかってきます。大きめの「のりしろ」を緊急必要資金として確保し、想定外の費用がかかっても「今はやむを得ない」と構えることが求められそうです。
出典
こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化制度でよくあるご質問はこちら(2)
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者