生活保護を受給中ですが、自宅に「テレビ」が欲しいです。家電は支給されると聞きましたが、テレビも対象でしょうか?
配信日: 2024.10.05
本記事では、生活保護の一時扶助として、生活必需品となる家具や家電が支給される「家具什器(じゅうき)費」について解説します。
執筆者:梅井沙也香(うめい さやか)
FP2級
家具や家電が支給される制度とは?
生活保護には、家具や家電が支給される「家具什器費」という扶助があります。
家具什器費とは、最低限生活に必要な家具や家電を持っていない場合に支給される一時扶助です。
生活保護では、「家具什器費」のように臨時的な需要に応じて支給される一時扶助と、生活扶助や医療扶助といった8種類の扶助から状況に応じて支給されます。
家具什器費が支給されるのは、主に炊事用具や食器等の最低限度の生活に必要と認められた場合で、主な支給実績には冷蔵庫や洗濯機、コンロや照明器具などがあります。
支給が認められる物品は、地域や家庭状況などによって異なりますが、娯楽性のあるテレビは支給対象とならない可能性が高いでしょう。
家具什器費の支給は、基本的に現物給付です。現物給付による支給が適当でないと認められた場合は、金銭によって支給を受けることもできます。
家具什器費を受けるには、事前に要件や金額も確認しておくことをおすすめします。
家具什器費の要件や金額
家具什器費は、支給される物品によって支給される上限額が定められており、生活保護を受けている人が次のいずれかに該当することで支給されます。
・生活保護開始時に最低生活に直接必要となる家具什器を持っていない
・単身の生活保護者が、長期の入院や入所後に退院や退所をし、新たに単身での自活をする際に最低生活に直接必要となる家具什器を持っていない
・災害に遭い、災害救助法が発動されず、当該地方公共団体等の救護だけでは災害により失った最低生活に直接必要な家具什器を賄うことができない
・転居の際に、新旧住宅の設備の相違によって現在の家具什器が使用できず、最低生活に直接必要な家具什器を補填(ほてん)しなければならない事情が認められた
・犯罪または同一世帯内で暴力などを受け、生命および身体の安全確保のために転居する際に、最低生活に直接必要な家具什器を持っていない
家具什器費は、原則3万4400円を上限に支給され、やむを得ない事情が認められた場合に限り5万4800円の範囲内で支給されます。
暖房器具や冷房器具は支給額が異なり、暖房器具なら2万7000円(やむを得ない場合は6万7000円)、冷房器具なら6万7000円が上限です。
暖房器具と冷房器具については、生活保護を受け始めてから最初の夏・冬であることも支給要件の1つとなっていることに注意が必要です。
家具什器費の支給は、さまざまな事情を考慮して各福祉事務所が判断するため、要件や金額のことなど分からないことはケースワーカーに相談してみましょう。
家具什器費の受給には、生活保護の申請とは別に一時扶助の申請をする必要もあるため、扶助を受ける際は住んでいる自治体に忘れずに申請しましょう。
まとめ
生活保護を受けている場合、通常の手当とは別に、家具や家電が支給される制度として、一時扶助の「家具什器費」があります。
家具什器費で支給されるのは、調理器具や冷暖房器具など最低限度の生活に必要と認められる家具や家電なので、娯楽性のあるテレビは支給されない自治体が多いです。
生活保護の受給者で「最低生活に必要となる家具什器を持っていない場合」などの支給要件を満たしている場合に限り、家具什器費は原則3万4400円の範囲内で支給されます。
家具什器費の支給には生活保護の申請とは別に、一時扶助の申請が必要です。支給についての判断は福祉事務所によって行われるため、分からないことはケースワーカーに相談しましょう。
家具什器費を活用することで、金銭的な余裕がなくても生活に最低限必要な物品を揃えることができるため、生活保護を受給する際は活用してみてください。
出典
厚生労働省 生業扶助及び一時扶助について
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 「生活保護法による保護の実施要領について」の一部改正について(通知)
執筆者:梅井沙也香
FP2級