「救急車」はなぜ「消防署」が管理しているのですか? 病院が保有している方が「効率的」ではないでしょうか?

配信日: 2024.10.16

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「救急車」はなぜ「消防署」が管理しているのですか? 病院が保有している方が「効率的」ではないでしょうか?
けがや病気などの大きさによっては、救急車を呼ばなければならないケースがあるかもしれません。救急車を利用すると病院に搬送されますが、管理自体は消防署が行っていることに疑問を抱く人もいるでしょう。
 
今回は救急車の管理を消防署が行っている理由とあわせて、維持にかかるコストをご紹介します。あわせて、救急行政の現状や抱える課題についてもまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

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救急車の管理を消防署が行っている理由

救急車の管理を消防署が行っている理由は、おもに運用のコストが関係していると考えられます。日本では救急サービスは公的サービスの1つとなっており、国籍や納税の有無に関係なく利用可能です。また、運用は税金で行われているため、原則利用料金はかからないとされています。
 
救急車の運用は1948年に警察組織から市町村(消防署)へ移されています。このタイミングで救急業務も現在の消防業務の組織に含まれており、消防署で救急車が管理されるようになったといわれています。
 
病院に救急車の運用を任せてしまった場合、維持費だけで相当なコストがかかると考えられます。救急車の維持コストが経営を圧迫してしまうと、病院の数が減少につながる原因となる可能性もあるでしょう。コスト面の問題および組織の仕組みが関係し、救急車の管理は消防署が行っているとされています。
 

救急車の維持にかかるコスト

救急車を維持する場合にかかるコストは、まず車両の維持費が考えられます。いつ救急要請が来てもすぐ対応できるよう、定期的なメンテナンスは欠かせないでしょう。
 
さらに車両だけではなく、救急車に搭載している各種機器のメンテナンスも実施しなければなりません。明確な費用は掲載されていないものの、この部分だけで高額な費用がかかる可能性があることは十分に想定できるでしょう。
 
搬送にかかる人件費についても忘れてはいけません。24時間常に救急隊員を待機させておかなければならないため、この部分も救急車の維持にかかるコストとなります。
 
これらの費用を総合した場合、1回の出動にかかる費用は4万5000円程度とされています。また、総務省消防庁の「令和5年版 消防白書」によると、救急出動件数は、722万9572件と記載されていました。単純計算にはなりますが、年間で約3253億円の費用がかかっていると想定できるでしょう。
 

救急行政の現状や抱える課題は?

救急行政の現状として、救急出動件数・救急搬送人員は年々増加しているようです。
 
それにともなって救急業務実施体制も充実している傾向にあり、平成24(2012)年と令和4(2022)年を比較しても救急隊数や隊員数、救急救命士資格者数などは増加しているとのデータが、消防庁救急企画室が発表した「救急行政の現状と課題」に掲載されていました。
 
ただし、社会の高齢化にともなって、今後も救急需要は増加する可能性があると考えられるでしょう。そのため、現状維持のままでは、将来的に救急業務実施体制が不足してしまうおそれがあります。
 
救急車の数が不足したり、隊員数が足りなかったりすると、出動までの時間がかかってしまうことも想定できるでしょう。これらの体制を整えることが、今後に向けた課題として掲げられているようです。
 

救急車を消防署が管理している理由は維持にかかるコストが関係していると考えられる

救急車の管理を病院ではなく消防署が行っている理由には、維持にかかるコストが関係していると考えられるでしょう。総務省消防庁の「令和5年版 消防白書」に記載されている情報を基に計算すると、救急車の出動には年間で約3253億円の費用がかかっている可能性があります。
 
これらを病院の負担にしてしまうと、経営を圧迫するおそれがあります。また、場合によっては救急車の利用に費用がかかる可能性もあるでしょう。さらに組織の仕組みとして、消防が救急業務を実施していることも関係し、管理を行っていると考えられます。
 

出典

消防庁 救急企画室 救急行政の現状と課題
総務省消防庁 令和5年版 消防白書 第2章 第5節
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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