グリーン車を定期的に利用する友人がいます。料金を払っても座れないことがあると聞きましたが、グリーン車はそんなによいものなのでしょうか?
配信日: 2024.10.20 更新日: 2024.10.22
東京駅から平塚駅までの距離は63.8kmあるので、グリーン車の料金は1000円になります(Suicaの場合)。つまり、グリーン車の料金は片道分の交通費と大差ありません。なぜそこまでしてグリーン車を利用するのか、Aさんは疑問を感じているそうです。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
Aさんの友人の話
東京駅から平塚駅まで、グリーン車を利用する友人は次のように話してくれました。
「お金を払って時間と空間を買うという考え方です。もしグリーン車を利用せずに、普通の車両を利用することを考えてみてください。まず確実に座ることができるか否か、ハッキリしません。座ることができなければ、立ったまま眠るか、窓の外の景色を眺めるくらいの過ごし方になってしまう。運よく座ることができたとします。カバンを膝の上に置き、ノートパソコンを広げて仕事ができますが……カバンの上のノートパソコンは、いつ落ちるか分からないですし、それに隣席の人の体格によっては窮屈で、仕事を断念せざるを得ないこともしばしばです。それに何といっても、進行方向に対して90度の目線なので、パソコンは操作しづらいです。
グリーン車を利用した場合、東京駅から平塚駅までの時間はおよそ1時間です。この1時間の間に、仕事に集中し、仕事を先に進めることができれば、グリーン車の料金を払う価値があると私は考えます。もちろん、グリーン車の料金を払っても必ず座れる保証はありませんが、普通の車両に比べると座れる可能性は高いです。グリーン車の座席にはノートパソコンよりもひと回り大きなテーブルがあります。また何といっても、視線が進行方向と同じです。普通の車両に比べると集中力が格段に高まるんですよ」
グリーン車を利用するときの留意点
Aさんの友人の話を聞いて「なるほど」と思いました。グリーン車の料金を払えば、仕事に集中するための空間を確保することができ、移動する時間も「移動だけ」ではなく、「移動と仕事」の両方に生かすことができるのかもしれませんね。
ところで、Aさんの友人の話で気になったのが、グリーン車の料金を払ってもグリーン車の座席に必ず座れる保証がないという点です。
実は、新幹線等と異なり、首都圏の普通の電車のグリーン車は「座席の指定」がありません。そしてグリーン車の車両にいるだけでも、つまりグリーン車の通路やデッキに立っているだけでもグリーン車の料金を払わなければならないのです。つまり、グリーン車の料金とは「グリーン車の座席」に対する料金ではなく、「グリーン車の車両を利用する」ための料金というのが、正しい認識のようです。
なお、グリーン車の利用をやめる場合、グリーン車のアテンダントに申し出れば、グリーン車の料金の払い戻しができますが、車内で払い戻しをしてくれるのではなく、みどりの窓口に行かなくてはなりません。
グリーン車の利用は「どの時間帯が座れそうか」を見極めることも必要でしょう。
出典
東日本旅客鉄道株式会社 首都圏の普通列車グリーン車の料金体系を見直します(2023年12月15日)
東日本旅客鉄道株式会社 乗車前にグリーン券を買ったのにグリーン車が満席の場合はどうしたらよいですか。
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役