更新日: 2024.11.05 子育て
「就職に有利だから」と高校生の息子が理系を選択しています。将来的にはよいと思いますが、大学の学費は理系のほうが高いです……。どうしてこんなに高いのでしょうか?
そこで本記事では、大学の学費の平均費用について解説するとともに、費用が足りない場合の対処法をまとめています。進学する大学の学費を重視する人は、ぜひチェックしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学の学費の平均費用はどのくらい?
文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、令和3年度の国立大学と公立大学、私立大学の入学金と授業料の平均額は図表1のとおりです。
【図表1】
大学 | 入学金 | 授業料 |
---|---|---|
国立大学 | 28万2000円 | 53万5800円 |
公立大学 | 39万1305円 | 53万6363円 |
私立大学 | 24万5951円 | 93万943円 |
※文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」をもとに筆者作成
国立大学と公立大学の学費は、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」に準じて決まるため、基本的に文系や理系による違いはありません。
私立大学の理系学部にかかる学費は国公立の倍以上
私立大学は文系と理系によって学費が大きく異なり、文部科学省の「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額等調査結果について」にて図表2のように伝えています。
【図表2】
学部 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
文科系学部 | 22万3867円 | 82万7135円 | 14万3838円 | 119万4841円 |
理科系学部 | 23万4756円 | 116万2738円 | 13万2956円 | 153万451円 |
医歯系学部 | 107万7425円 | 286万3713円 | 88万566円 | 482万1704円 |
その他学部 | 25万1164円 | 97万7635円 | 23万1743円 | 146万542円 |
※文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額等調査結果について」をもとに筆者作成
同調査によると、私立大学の学費は、文系学部よりも理科系・医歯系学部のほうが高額の傾向にありました。文科系学部との学費を比べると、理科系学部が33万5610円、医歯系学部は362万6863円高いという結果が出ています。
理系の学費が高い理由は「授業形態の違い」
理系の大学の学費が高い理由として挙げられるのは、「授業形態の違い」です。文系と比べて理系は実験や実習が多く、その際の材料や施設が必要です。また、安全面を考慮して複数の教員を確保するための人件費がかかります。
それに対して文系は、理系のような実験や実習が多いわけではありません。授業を行う際に教員1人で複数の学生の担当が可能です。
大学の学費が足りない場合の対処法
子どもが理系の大学に進学するにあたって、学費の用意が厳しいこともあるでしょう。その場合は、奨学金制度や日本政策金融公庫の教育一般貸付などの利用を検討してみてください。
奨学金制度の利用
大学の学費が足りない際の対処法として、もっとも一般的なのは独立行政法人 日本学生支援機構が運営する奨学金制度です。奨学金には、返済が不要な給付奨学金と返済が必要(無利子または有利子)な貸与奨学金の2種類があり、いずれも世帯の収入状況や本人の成績に関する条件を定めています。
また、大学によっては独自の奨学金制度や成績が優秀な学生に対し、授業料が免除になる制度を設けている場合があります。
日本政策金融公庫の教育一般貸付
株式会社日本政策金融公庫の「教育一般貸付」は、固定金利年2.40%、上限額350万円、返済期間は最長18年です。以下に該当する場合は、年2.0%の金利優遇を受けられます。
●交通遺児家庭
●母子家庭、父子家庭
●世帯年収200万円(世帯所得132万円)以内
●扶養する子どもが3人以上で世帯年収500万円(世帯所得356万円)以内
ひとり親や年収が基準以下、子ども3人以上の世帯に対する金利などの優遇制度があり、家庭の事情に合った条件での借り入れが可能です。学費以外にも、受験費用や学校納付金、在学のために必要な住居費用、教科書代、通学費用、学生の国民年金保険料、海外留学費用といった目的にも利用できます。
奨学金や教育一般貸付の利用も検討したうえで進学先選びをしよう
大学の学費は、国立や公立、私立という点だけでなく、実際に進学する学部によって違いがあります。特に私立大学の文科系学部よりも理系学部や医歯系学部の学費が高く、準備するのが難しい場合もあるでしょう。また、授業料だけでなく自宅を出てひとり暮らしが必要な場合は、賃貸物件の契約費用や毎月の家賃、光熱費などもかかります。
保護者の収入や貯金で、子どもが希望する大学へ進学させられるのであれば心配や不安はありません。しかし、学費の用意が難しい場合は、奨学金や教育ローンといった方法で補うことを検討しておくと安心でしょう。
出典
文部科学省 国立大学法人法施行規則等関係省令について
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
株式会社日本政策金融公庫 国の教育ローン まるわかり本 令和6年度版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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