更新日: 2019.07.03 子育て

ひとり親家庭の実態とは果たしてどんなものか

ひとり親家庭の実態とは果たしてどんなものか
FPと夫婦問題カウンセラーの二刀流の私にとって、「ひとり親家庭の貧困問題」はとても心に重く響く社会問題です。経済大国と言われる日本ですが、地域や個人の経済格差問題は深刻です。なかでも、これから教育にお金がかかる「ひとり親家庭」では、特に重要な課題となっております。
 
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

ひとり親家庭の実態

「ひとり親家庭」とは、母子家庭・父子家庭両方ありますが、厚生労働省が発表した平成28年度の“全国ひとり親世帯等調査”によると、約142万人のひとり親家庭の約87%が母子家庭だそうです。
 
そして、その約54.6%の家庭の所得が、全国民の所得の中央値よりも下回っているとか。先進国では、他に類がない貧困率だそうです。一人親になった理由は、母子家庭の約80%が「離婚」によるもの。この数字をみる限りでも、子どものいる家庭の「離婚に伴う“経済破綻”問題」があるのではないでしょうか。
 
結婚時、家庭優先で過ごす女性は多くいます。なので、男性に比べて収入が少ない方もいると思います。実際に、厚生労働省の同調査によると、母子家庭の平均年間収入は243万円となっており、父子家庭の収入420万円よりもマイナス177万円で大きくかけ離れています。
 
その背景には、母子家庭の母親の場合、正規雇用が44.2%と低く、父子家庭の父親の85.4%と2倍ほどの差があるのです。子どもが幼く、フルタイムでの勤務が厳しい事情があるのかもしれませんが、シングルマザーの社会復帰には様々な壁があるのが実情です。
 

 

社会制度を利用して賢く生きよう

そんな状況を加味してでも、パートナーの暴力や借金などにより、やむを得ず離婚をせざるを得ない方も大勢います。国には「ひとり親」への経済支援制度がありますので、申請をしてみてください。
 
なかでも『児童扶養手当』は、離婚等によるひとり親世帯の生活の安定と自立の促進をする為の制度です。支給金額は親の所得により変わります。
 
~児童1人目~
全部支給:42,500円
一部支給:41,490円~10,030円

~児童2人目の加算額~
全部支給:10,040円
一部支給:10,030円~5,020円

~児童3人目以降 1人につき~
全部支給:6,020円
一部支給:6,010円~3,010円

 
【所得制限の限度額(収入ベース)】
 

 
※以降一人追加ごとに38万円加算
※所得は、収入から必要経費(給与所得控除等)を引き、養育費8割相当を加算した額
※所得制限の額及び所得についての詳細は、お住まいの区市町村にお問い合わせください
 
ひとり親になることを検討中の方は、市区町村に出向き、試算してもらうと良いかと思います。
 

児童扶養手当の経費・所得控除の内容

児童扶養手当の支給金額の算定基準となる所得の算定方法は、給与所得者「給与所得控除後の金額」、確定申告者であれば「所得金額の合計」にあたります。そこからさらに下記の控除を行うことができるのです。
 
・障碍者控除 27万円
・特別障害者控除 40万円
・勤労学生控除 27万円
・小規模企業共済等掛金控除
・配偶者特別控除
・医療費控除
・みなし寡婦控除(一般) 27万円
・みなし寡婦控除(特別) 35万円
 
上記の中で「小規模企業共済等の掛金控除」に注目をしていただきたいと思います。この「小規模企業共済等の掛金控除」の中には、確定拠出年金が含まれています。確定拠出年金は老後の自分年金と言われ、今とても注目を浴びている老後の資産形成のひとつです。
 
60歳まで引き出しができない等のデメリットもありますが、公的年金では不足する老後の年金資金に大きく上乗せでき、税制優遇等のメリットのおまけもつくお得な制度です。
 
母子家庭の母親の所得は、上記の様に児童扶養手当の支給にも大きく影響してきます。個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は月々5,000円~68,000円まで。掛金は自分で決められますし、働き方により限度額は違ってきます。
 
年額60,000円~816,000円まで所得控除ができます。「頑張って所得があがっても児童手当の金額に響いて大変」という方は、所得制限に合わせ、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入してみたらいかがでしょうか。
 
近年、母子家庭の増加に伴い、児童扶養手当の受給者も増加しており、平成13年度末に759,194人であったのに対して、平成24年度末では1,083,317人となっています。多くの方が助けられている制度ですね。
 
しかし、これだけでは難しい局面もあるでしょうから、都道府県や地方自治体のそれぞれの制度を利用して、一人親家庭の貧困問題を少しでも解消しましょう。
 
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー
 

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