ついに東大が授業料を値上げ! 子どもを国立大学に通わせると4年間でいったいいくらかかるの?

配信日: 2024.11.16

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ついに東大が授業料を値上げ! 子どもを国立大学に通わせると4年間でいったいいくらかかるの?
東京大学が、授業料の値上げを発表しました。他の国公立大学や私立大学もそれに追随して値上げするのではないか、と子育て中の親にとっては気になる内容です。
 
現状、子ども1人を国立大学に4年間通わせるといくらかかるのか、私立大学と比べるとどのくらい差があるのか、確認しておきましょう。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

国立大学の学費は一律ではないの?

東京大学の学士課程の授業料が、来年度4月入学者から次のとおり改定されることになりました。


現行:53万5800円
改定後:64万2960円

修士課程も現行は学士と同額ですが、2029年度から同じく上記額に改定予定となっています。なお、博士課程は今のところ改定予定はありません(※1)。
 
「国立大学の学費って、どこも同じじゃなかったの?」と思った方もいるのではないでしょうか。国立大学の授業料、入学料等は文部科学省令で標準額が定められており、学部は授業料が53万5800円、入学料が28万2000円です。
 
原則はこの標準額なのですが、「特別の事情」があるときはそれぞれ120%を上限額として定めることができるとされています(※2)。今回、東京大学はこの省令にのっとり、上限の120%に授業料を改定したということです。
 

すでに値上げしている大学もある

では、東京大学以外に標準額を上回る授業料を設定している国立大学はあるのでしょうか?
 
全国の国立大学を調べると、千葉大学、東京農工大学、東京芸術大学、東京工業大学、一橋大学その他複数の大学が、最近5年以内に学部の授業料を上限額に改定していることが分かりました(※3)。
 
各大学の学費情報を見ると、例えば東京芸術大学は入学料も上限額120%の33万8400円に改定しており、東京農工大学は来年度に大学院の授業料も上限額に改定予定となっています。
 
「横並び」から値上げに踏み切る大学が、徐々に現れてきたことが確認できます。大学4年間の学費を標準額と改定後(上限額)で比べると、


(1) 標準額:入学金28万2000円+授業料53万5800円×4年間=242万5200円
(2) 改定後:入学金28万2000円+授業料64万2960円×4年間=285万3840円

となり、4年間で約43万円の負担増となります。
 

私立大学との授業料比較

このまま国立大学の授業料が上がっていくと、私立大学との差が縮まってしまうのではないか……そんな心配までしてしまうでしょう。私立大学の学費の平均額と、実際はどの程度違うのでしょうか。これまでの金額推移とあわせて確認します。
 
図表1

図表1

 
国立大学授業料の標準額は、20年ほど据え置かれたままです。その間、私立大学は平均13万円程度上昇しており、差が広がっています。その結果、令和5年度は私立大学の平均授業料のほうが40万円以上高くなっています。
 
令和5年のみ、専攻分野別の平均額も付記しましたが、もっとも安い文科系でも国立大学より年30万円ほど高額です。ただ、今回の東大のように上限額まで値上げすると、私大文科系との差は年間18万円程度となり、かなり近づいてきた感じがあります。
 
物価の上昇率が比較的抑えられていた期間とはいえ、約20年間同じ学費だった国立大学です。今回の東大のみならず、この5年ほどで値上げした大学がいくつも出てきたということは、今後、各校の授業料改定の動きには注目したいところです。
 

入学料は私立のほうが4万円安い

授業料と同様に国立大学の入学料標準額も、長い期間改定されないままとなっています。
 
ただしこちらは、国立大学が平成14年から現在と同じ28万2000円であるのに対し、私立大学の平均はその当時ほぼ同額だったものが一貫して下がり続けています。令和5年では、約24万円と国立大学より4万円ほど安くなっています。
 
ただし、学費に関する支出は入学料や授業料だけではなく、教材やパソコン等IT機器、その他の学習用品など多岐にわたります。さらに、自宅外通学の場合は住居費・光熱費・食費などの負担も加わります。
 
これら在学期間にかかる出費全体について、最近の消費者物価上昇は心配の種のひとつです。
 
学費値上げとセットで導入あるいは条件緩和される、学費の免除・軽減制度の利用や、大学が申請窓口になる校内外の給付型奨学金へ応募など、負担増を吸収できる制度は、その活用可否をぜひ確認したいものです。
 

出典

(※1)東京大学 授業料改定及び学生支援の拡充について
(※2)デジタル庁 e-GOV 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成十六年文部科学省令第十六号)
(※3)文部科学省 国立大学
(※4)文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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