更新日: 2024.11.16 その他暮らし
12月から「健康保険証」が発行されないと聞きました。「マイナンバーカード」を作りたくないのですが、医療費を「10割」を負担する必要があるのでしょうか…?
マイナンバーカードを作らないと病院で診察を受けられないのか、医療費が10割負担になるのではないかといった心配もありますよね。本記事では、健康保険証の廃止の概要について詳しく解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
健康保険証廃止の概要
2024年12月2日に健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とするしくみに移行されます。
これにより、就職や転職、退社などで新たに健康保険に加入した場合でも、従来の保険証は発行されません。代わりにマイナンバーカードを健康保険証として利用することが原則となります。
これにより、私たち利用者がより便利に医療を受けられるようになります。
マイナ保険証を使うメリット
マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、次のようなメリットがあります。
過去の診療データを活用できる
マイナンバーカードを健康保険証として使ってデータ提供に同意することで、医師は患者の過去の処方薬や特定健診の結果などを確認した上で診療にあたれるようになります。
これにより、より正確な診断や最適な薬の処方が期待できるでしょう。今までのように、過去の病歴を口頭で伝える手間も省けます。
限度額認定の手続きが不要になる
これまで医療費が高額になった際に必要だった「限度額適用認定証」の交付申請などの手続きが、マイナンバーカードの利用で自動化されます。
これにより、高額療養費の自己負担が自動的に免除されるなど、手続きのわずらわしさがなくなります。
確定申告の医療費控除が楽になる
医療費控除の申請も、マイナンバーカードを活用すれば手続きが簡単になります。医療機関で支払った医療費が自動的に記録されるため、確定申告の際にわざわざ領収書を整理する必要がありません。
持ち歩きの手間が減る
2025年春には、マイナンバーカードの保険証機能をスマートフォンに搭載することが予定されています。これにより、カード自体を持ち歩く必要がなくなり、スマートフォン1つで健康保険証として利用できるようになるため、より便利になります。
マイナンバーカードを作らない場合
中には「マイナンバーカードを作りたくない」という人もいるでしょう。では、マイナンバーカードを作らない場合、病院の受診や医療費負担はどうなるのでしょうか?
資格確認書を使用
現在手元にある健康保険証は、有効期限(最長2025年12月1日)まで使用可能です。それ以降、マイナンバーカードを持っていない場合には、「資格確認書」を提示することで、今までと同じように医療機関で診察を受けることができます。
資格確認書は、有効期限より前に保険者から送付され、これまでの保険証と同じように使用できます。
医療費の自己負担割合も変更なし
資格確認書を提示すれば、医療費の自己負担割合は変わりません。つまりマイナンバーカードを作らなくても、10割負担になるという心配はないのです。
マイナンバーカードって本当に安全なの?
「マイナンバーカードに個人情報が詰まっているから、作るのが怖い」という人もいるかもしれません。
しかし、マイナンバーカードのICチップには、医療情報などのプライバシー性の高い情報は保存されていません。顔認証や暗証番号を組み合わせることで初めてそうした情報にアクセスできる仕組みとなっています。
またICチップから不正に情報を取り出そうとすると、自動的にICチップが破損する仕組みになっており、セキュリティー面で厳重に対策が施されています。
さらに、医療機関側も患者の保険情報以外の情報にはアクセスできない仕組みになっています。例えば年金や銀行口座情報は確認できないため、不要な情報を見られる心配もありません。
自分が納得する選択をしよう
今後、健康保険証の新規発行は終了する予定です。マイナンバーカードを作らなくても資格確認書を使うことで、一定の窓口負担で医療を受けられます。
マイナンバーカードを作るかどうかは、最終的には個人の選択です。カードを作ることで便利になる点も多くありますが、作らない選択肢もあります。自分の生活スタイルや考え方に合った選択をし、健康保険証の廃止に備えましょう。
出典
厚生労働省 国民向けマイナンバーカードの利用案内サイト カンタン!便利!マイナンバーカードの健康保険証利用
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット
デジタル庁 よくある質問:マイナンバーカードの健康保険証利用について
執筆者:山田麻耶
FP2級