更新日: 2024.11.16 その他暮らし
結婚式に「渋沢栄一」のご祝儀を包もうとしたら、SNSで「不倫で有名だからNG」との意見が! これって“新マナー”なの? ほかのお札を包むべき?
それは「結婚式のご祝儀に渋沢栄一の1万円札は不適切である」というもの。なぜこのような議論が生まれ、「マナー」として言われるようになったのでしょうか。
本記事では、新1万円札の肖像画である渋沢栄一と、本当に新1万円札は結婚式のご祝儀として不適切であるのかについて解説していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
結婚式のご祝儀マナーとは
結婚式のご祝儀マナーとして従来から浸透しているものとしては、ご祝儀に新札を包むというものです。
よく「ピン札」と「新札」を混同している人がいますが、「ピン札」は使用済みでもシワや折り目のないきれいな紙幣のことで、「新札」は発行されてから未使用のものをいいます。基本的に新札は銀行や郵便局などの金融機関でしか手に入らないので、早めに準備しておくとよいでしょう。
また紙幣の入れ方にも作法があり、取り出したときに「紙幣が表を向いて、さらに肖像画が上にくる」ように入れるのが、慶事の紙幣の扱い方です。ご祝儀を包む際は「新札であること」と「紙幣の向き」の2点に注意しましょう。
渋沢栄一ってどんな人?
新紙幣の肖像画の1人として採用された渋沢栄一は、「日本資本主義の父」と呼ばれる実業家で、日本で最初の銀行を設立したのをはじめ、500社以上の会社設立と経営に携わってきました。私生活では2度の結婚をしています。
実は渋沢栄一は女性関係が派手であったと言われており、妻以外にもいわゆる「妾」を複数囲っており、彼女たちとの間に多くの婚外子ももうけました。妾のうちのひとりは妻とほぼ同時期に渋沢栄一の子を産んでいたり、妻のいる自宅に妾を住まわせていたりといった逸話も残されているのです。
「英雄色を好む」ということわざもありますが、実業家として多くの成功を収めた一方で、このような女性関係があったことが分かります。
渋沢栄一が生きていた当時と現代では、結婚への考え方や価値観が異なりますが、このような女性遍歴から「不倫三昧であったとされる渋沢栄一が描かれた紙幣は結婚式のご祝儀としては不適切」という考え方が生まれたのではないでしょうか。
渋沢栄一のお札はご祝儀に適さない?
渋沢栄一のお札はご祝儀の紙幣として不適切なのでしょうか。
結婚式場サイトを運営する株式会社トキハナが行った、20代~40代の326人を対象とした「渋沢栄一の新紙幣をご祝儀に使用することに関するアンケート」によると、渋沢栄一の新紙幣をご祝儀に使うことに対して、マナー違反だという声があることを知っているのは全体の約30%であることが分かりました。
また、実際に渋沢栄一のお札をご祝儀として使用するのをマナー違反だと感じているのは全体の30.9%で、約70%の人はマナー違反だと思っていないという結果も出ています。
これらの結果から、渋沢栄一のお札をご祝儀に使うことに対してマナー違反とは思わない人のほうが多く、そもそもそのようなマナーがあるとは知らなかった人も多くいることが分かりました。
渋沢栄一のお札をご祝儀に使用してもマナー違反とは言えない
渋沢栄一は派手な女性関係から、結婚式のご祝儀には適さないという意見もありますが、多くの人は「マナー違反」というほどのものではないと感じているようです。
ご祝儀の受け取り手となる新郎新婦が、渋沢栄一のお札に対して嫌悪感を示しているというような特別な状況でない限り、ご祝儀のお札として包むことは問題ないでしょう。
そもそも「マナー」とは「必ずこうしなければいけない」というものではなく、「相手を不快にさせない思いやり」です。真偽のわからない「謎マナ―」に振り回されるのではなく、お祝いの気持ちと真心を込めてご祝儀を贈るようにしましょう。
出典
株式会社トキハナ 渋沢栄一の新紙幣をご祝儀に使用することに関するアンケート(PR TIMES)
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級