更新日: 2024.11.22 子育て

高等教育の修学支援制度、対象校取り消し増加!学生への影響と対策とは?

高等教育の修学支援制度、対象校取り消し増加!学生への影響と対策とは?
高等教育の修学支援新制度は、大学等が教員や授業科目、財務状況、定員充足率などの機関要件を満たさなければなりません。
 
毎年、国や自治体による要件確認を受けた結果、新規追加や取り消しがあります。そこで、支援を受けていた大学等が対象外になった場合、支援を受けていた学生は引き続き支援を受けられるのか不安になるでしょう。本記事で、制度について詳しく見ていきましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高等教育の修学支援新制度の概要

2020年4月から、高等教育の修学支援の新制度が開始されました。大学・短期大学、高等専門学校、専門学校の意欲ある学生が経済的な理由で学びを中断することがないよう、授業料等減免と給付型奨学金の支援を受けることができます。
 
すべての学生を対象に、世帯年収により3段階の区分があり、自宅以外から私立大学に通う学生の場合、年間に最大で約70万円の授業料の減免と約91万円の奨学金の支給が受けられます。
 
2024年度からは、中間層への支援として第4区分が設定され、「子どもが3人以上の世帯(多子世帯)の学生」もしくは「理学・工学・農学いずれかの分野を学ぶ学生」が、新たに支援対象となりました。2025年度からは、多子世帯は所得制限なく、授業料等減免について全額支援(上限あり)を受けられるようになります。
 
対象となる学生は、世帯収入や資産の要件を満たしていて、学ぶ意欲のある学生です。また、対象となる学校は、在籍している学校または進学先の学校が「大学等における修学の支援に関する法律」に基づき、一定の要件を満たした対象機関であることの確認を受けることが必要です。
 

大学等の要件(機関要件)の概要

高等教育の修学支援新制度を受けることができる学校は、国や地方団体から確認を受けた学校です。機関要件には教育要件と経営要件があります。少子化の影響で、経営要件を満たさない学校が増えるかもしれません。
 
取り消しの対象となる経営要件は、次のとおりです。
 

1.収支差額や外部負債の超過に関する要件

・直前3年度すべての収支計算書において「経常収支差額」がマイナスであること
・直前の年度の貸借対照表において「運用資産と外部負債の差額」がマイナスであること

 

2.収容定員に関する要件

<大学・短期大学・高等専門学校の場合>
直近3年度すべての収容定員充足率が8割未満であることです。ただし、直近の収容定員充足率が5割未満に該当しない場合であって、直近の進学・就職率が9割を超えるケースでは、確認取消を猶予されます。
 
<専門学校の場合>
直近3年度すべての収容定員充足率が5割未満であることです。ただし、地域の経済社会にとって重要な専門人材の育成に貢献していると、設置認可権者である都道府県知事等が認める場合は、確認取消が猶予されます。
 
なお、大学が要件を満たさず対象から外れた場合、対象外となる前から支援対象であった学生は継続して支援を受けることができます。

 

確認の取り消しを行った大学等の公表

文部科学省の資料によると、確認の取り消しになった学校について、2020年は私立大学2校、私立短期大学2校、私立専門学校6校でした。2021年は私立大学0校、私立短期大学1校、私立専門学校7校、2022年は私立大学0校、私立短期大学4校、私立専門学校11校、2023年は私立大学0校、私立短期大学2校、私立専門学校6校となっています。
 
2024年は私立大学13校、私立短期大学31校、私立高等専門学校1校、私立専門学校34校と増加しています。取り消しの効力発生日は、公表年の翌年3月31日です。毎年8月末に公表されるので、進路の参考にするといいでしょう。
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 高等教育の修学支援新制度の対象機関(確認大学等)の公表(令和6年8月30日)
文部科学省 確認の取消しを行った大学等の公表
文部科学省 高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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