更新日: 2024.11.30 子育て
息子が「月2万円の奨学金を返せない」と泣きついてきて困っています。親が代わりに返すことは可能でしょうか?
本記事では、奨学金の返還を親が肩代わりする際に発生する可能性のある税金や、その回避方法について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
奨学金とは
奨学金は、学生が学業に専念できるよう、学費や生活費の負担を軽減するために利用される支援制度です。さまざまな機関が提供しており、主に返還の義務がない給付型と返還が必要な貸与型に分かれます。
貸与型と給付型がある
貸与型の奨学金は、借りた分を後から返還しなければなりません。ただし、貸与型にも複数のタイプがあり、特定の条件を満たすと返還が免除されるケースもあります。また、条件次第では、無利息で貸与できるものもあるのが特徴です。
給付型の奨学金は返還義務がないため、将来の経済的負担を心配する必要がありません。経済的支援が必要な学生にとっては、大きな助けとなるでしょう。
親が返還すると贈与税がかかる可能性も
子どもの奨学金返還を親が代わりに行うケースもあるでしょう。しかし、返還方法によっては贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。ここでは、親が代わりに奨学金の返還を行う場合に、贈与税がどのような条件で発生するのかを紹介します。
贈与税が発生するパターン
親が支払う奨学金の返還額が年間110万円を超えると、超過分に対して贈与税が生じます。贈与税の税率は課税金額が増えるとともに上昇するのが特徴です。
国税庁によれば、特例税率の場合、課税金額が200万円以下であれば10%、400万円以下なら15%(控除額10万円)、600万円以下の場合は20%(控除額30万円)と上がっていきます。つまり、年間110万円を超えてしまうと、最低でも10%以上の税率がかかるのです。
贈与税が発生しないパターン
贈与税を発生させないためには、年間110万円以内で奨学金の返還を支援する必要があります。基礎控除は1年区切りであるため、奨学金の返還を年間110万円以内で分割して支援すると、贈与税を支払わずに済むでしょう。
そのため、奨学金返還をサポートする際は、早いうちから計画を立てて毎年110万円以内に収める形で支払いを行うとよいかもしれません。
例えば、奨学金の返還額が300万円だとすると、一括で親が支払ってしまうと、基礎控除額を除いた190万円に対して贈与税が課せられてしまいます。毎年100万円ずつ支援すれば基礎控除額内で収まるため、贈与税は発生しません。
親も支払いが難しい場合は救済措置の利用を検討する
子どもが奨学金の返還に困っていたら助けたくなるものですが、親自身も経済的に厳しい状況であれば、奨学金返還の救済措置を検討しましょう。独立行政法人日本学生支援機構では、経済的に困難な状況や、失業、病気、災害などにより返還ができなくなった場合に利用できる救済措置が設けられています。
救済措置を利用すると、返還の猶予や減額などを通じて返還負担の軽減が可能です。返還が滞る前に、早めに機構へ相談し、状況に応じた対応をしてもらいましょう。
また、地方公共団体や地元企業が連携して、定められた要件を満たした場合に、地元企業に就職した人の奨学金返還を支援する仕組みが設けられている地域もあります。地域の制度を利用すれば、奨学金の返還負担がより軽減されるかもしれません。詳細は各地方自治体の公式サイトで確認し、自分に適用される支援があるかをチェックしましょう。
滞納すると延滞金が発生してさらに支払いが滞るおそれがある
奨学金の返還が滞り、返還期日に引き落としができなかった場合、延滞金が生じます。延滞金は、返還期日の翌日から返還が完了するまでの日数から計算され、滞納が長引けば増額していく仕組みです。
延滞金が発生すると、より返還負担が増え、返還が困難になってしまうでしょう。返還額が膨らむおそれがあるため、延滞をしてしまう前に親や機構へ相談することが大切です。
奨学金の返還は親でも可能だが贈与税が発生しないよう注意する
子どもが奨学金を返還できなくなったとき、親が代わりに支払う家庭もあるでしょう。代わりに支払う際は、返還方法によっては贈与税が発生するリスクを事前に把握しておくことが大切です。贈与税が発生しないようにするためには、年間110万円以内の金額で支援する必要があります。
また、親子ともに経済的に厳しい状況にある場合には、奨学金を管理している機関へ相談し、救済措置の利用を検討しましょう。奨学金の返還は、計画をしっかり立てることが大切です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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